青木先制弾にサヨナラ弾「1日2本は信じられない」

[ 2012年6月9日 06:00 ]

<ブルワーズ・カブス>カブス戦の10回、右越えにサヨナラ本塁打を放ち、大喜びで本塁へ向かうブルワーズ・青木

ナ・リーグ ブルワーズ4-3カブス

(6月7日 ミルウォーキー)
 ブルワーズの青木宣親外野手(30)が7日(日本時間8日)、カブス戦に「1番・右翼」で5試合連続の先発出場。4回に先制の2号ソロを放つと、同点の延長10回には日本選手4人目となるサヨナラ本塁打を放った。試合後はメジャー流の手荒い祝福も初体験。2試合連続の3安打で打率を再び3割に乗せた背番号7が、地区連覇へ、巻き返しを図るチームの原動力となる。

 歯を食いしばり振り抜いた青木の打球はライナーで右翼フェンスを越えた。3―3の延長10回。カウント2ボールから右腕コールマンが投じた内角寄り91マイル(約146キロ)の直球だった。大歓声に包まれる本拠ミラー・パーク。ヘルメットを放り投げ、歓喜の輪にジャンプして飛び込んだ。

 「みんな笑顔で待っていて…。またチームの一員になれたというか、本当にうれしい」

 興奮が収まらないまま、一塁側ベンチでのヒーローインタビュー。同僚からシェービングクリームのパイを顔面に押しつけられた30歳のルーキーは、メジャー流の祝福の儀式に「汚れたけどうれしい」と声を弾ませた。

 独壇場だった。4回先頭で速球派右腕ガーザから右翼に先制2号ソロ。メジャー初アーチはランニング本塁打だったため、スタンドインは初めてだ。1点を追う8回は先頭で二塁内野安打を放ち、4番ハートの同点打につなげた。そして10回の劇弾。「1日に2本は信じられない」と言うが、決して偶然ではない。1本目は「球が速いので、少し(ポイントを)前で打とうと思った」と技術で、2本目は「変化球は考えにくい」と読みで直球を仕留めた。

 活躍の陰には、青木が「ゴッドハンド(神の手)」と信頼する整体師の原田雅章氏の存在がある。早大時代から体を診てきた同氏は都内の整体治療院を閉院し、4月下旬にミルウォーキーに引っ越してきた。青木は5月下旬に過酷な遠征が続き、31日のドジャース戦からの5試合は19打数1安打と苦しんだ。同氏はコンディション回復のために時には6時間にも及ぶ治療を施し、落ち込む姿を見て「絶対にできる」と勇気づけた。「原田先生はメンタル面でもプラス思考にしてくれる。家族のような存在」と2試合連続3安打で応えた。

 この日はデーゲームで、佐知夫人(28)と8カ月の愛娘がスタンドで観戦。試合後、関係者からそのことを知らされると「えっ!」と驚き、クラブハウスを出て家族の元へ。「来てたの?」と愛娘を抱き上げた。連勝のチームはホームでは5月11~13日以来のカード勝ち越し。その立役者となった青木はパパの顔で家路に就いた。

 ≪日本人4人目のサヨナラ弾≫日本選手のサヨナラ本塁打は11年の松井(アスレチックス)以来、史上4人目。最多は松井で3本放っている。青木は日米通じて2度目のサヨナラ弾で、ヤクルト時代の05年8月26日の横浜戦(神宮)で記録している。1試合複数本塁打はヤクルト時代に3度ある。過去の日本選手でメジャー1年目にマルチ本塁打を記録したのは04年の松井稼(メッツ)、06年の城島(マリナーズ)に続き3人目。サヨナラ本塁打を含む1試合2本塁打は日本選手では初めてだ。

 ▼ブルワーズ・レネキー監督 毎試合、青木、モーガン、ゴメスの3人の中から(外野を1人もしくは2人を)選ぶのは難しいが、今は青木が一番いい働きをしている。今はできる限り、彼を使いたい。

 ▼佐知夫人 最初は何が起きたのかという感じでしたけど、周りのスタンディングオベーションを見て、「あ~、凄いことをやったんだな」と。本当に感動というか、結構つらそうにしているところも見ているので。スタンドには日本の国旗を持って、主人を応援するファンも見かけた。それが印象に残りました。

続きを表示

この記事のフォト

2012年6月9日のニュース