「滑る」のではなく「跳ぶ」…巨人・鈴木の二盗秘けつ

[ 2012年2月12日 06:00 ]

「跳ぶ」ようなイメージの巨人・鈴木のスライディング

 代走のスペシャリストでもある巨人・鈴木尚広外野手(33)は、二盗時に至近距離から二塁ベースに滑り込む。故障の危険性もある踏み切り位置だが、数多くのメリットを生み、プロ入りからの通算盗塁成功率は8割以上。宮崎キャンプではこの日からスライディング練習がスタートした。鈴木のイメージは「滑る」のではなく「跳ぶ」――。

 誰にもまねできない鈴木のスライディング。盗塁を量産している秘けつは、滑りだす際の二塁ベースとの距離にある。

 「プロ入りしたときから滑り始める位置は変わっていない。二塁ベースの向こうにもう一つのベースを想定して、そこに“滑る”というより“跳ぶ”という感覚です」

 この日のスライディング練習でも周りとの違いは一目瞭然。他の選手が滑り始めるのは二塁ベース手前2メートルの辺りだが、鈴木はその半分の1メートル以内から「跳び蹴り」のように滑る。ベースに足を突き刺すような力強いスライディングは到達時間の短縮はもちろん、他にも数多くのメリットを生んでいる。

 例えば中日の井端、荒木ら守備の名手は盗塁阻止の二塁ベースカバーの際に捕手からの送球を受けてからタッチまでが素早い。鈴木は「セーフのタイミングで審判にアウトと言われたこともあるけど、強いスライディングで印象が良ければアウトをセーフにできる」と言う。さらに「相手のタッチが早ければグラブの中のボールが遊んでいる可能性がある。僕は二塁も本塁も同じように滑る」と本塁突入時のように相手のミスを誘う「迫力」の必要性も強調した。

 昨季は代走起用が多い中でリーグ4位タイの18盗塁。通算の成功率は・812で、8割以上は100盗塁以上の現役選手では3人しかいない。まさにスペシャリストだ。

 ≪盗塁成功率8割超えは3人≫今季国内でプレーする選手で、通算100盗塁以上しているのは358盗塁の石井(広)を筆頭に19人。うち盗塁成功率8割超えは通算321盗塁で・815の松井(楽)、168盗塁で・812の鈴木、104盗塁で・800の渡辺直(D)の3人だけ。

続きを表示

2012年2月12日のニュース