岩隈 魂の147球だ!13K完封で唯一の開幕3連勝

[ 2011年4月27日 06:00 ]

<西・楽>楽天の岩隈は完封勝利を挙げ、平石(左)とハイタッチ

パ・リーグ 楽天2-0西武

(4月26日 皇子山)
 これぞエースだ!楽天の岩隈久志投手(30)が26日、西武戦(皇子山)で147球の熱投。自己最多タイの13三振を奪って完封勝利を挙げた。各チームの開幕投手が登板する激アツの火曜日。岩隈は12球団で唯一の開幕3連勝をマークし、チームの借金生活転落の危機を救った。29日のKスタ宮城での本拠地開幕戦(対オリックス)までラスト1試合。白星で貯金を積み重ねて、さあ仙台に戻ろう。
【試合結果】

 嶋から返球を受けた岩隈が、汗をぬぐって大きく息を吐いた。外野を見渡し、グラブを前に引いて左翼・中村の守備位置を前に出す。9回2死一、二塁。打席の阿部に対し、2ボール2ストライク。長打を警戒する場面でセオリーに反した指示を出した。狙うは完封勝利だけ。その強気な姿勢に、ベンチの星野監督も思わず笑顔を見せた。

 「相手は涌井。1点勝負になると思っていた。あの展開だったので、9回も自分で行くつもりでした」。捕手の嶋が「クマさんは魂がこもっていた」という147球。「疲れました。最後はバテました」。試合後は、荷物を地面に引きずりそうにしながら帰りのバスに乗り込んだ。12日の開幕戦で成瀬(ロッテ)に勝ち、先週の火曜日は和田(ソフトバンク)に勝利。今度は涌井を相手にエース対決を制し、無傷の3連勝を飾った。

 直球とフォークのコンビネーションで2試合連続の2桁、自己最多タイの13奪三振を記録。ピンチでは決め球を惜しみなく投じた。5回1死一、二塁では高山、銀仁朗を空振り三振。6回以降はフォークを意識する相手の裏をかき、直球で見逃し三振を4つ奪った。球を微妙に動かし、多彩な変化球を駆使する投手が増える中、岩隈は少ない球種で打者を封じる。変化球はカーブ、スライダー、シュート、フォークだが、カーブは1試合に数球だけ。切れ味満点のフォークがあるからこそ、球種を増やす必要性を感じていない。

 岩隈の代名詞ともいえる宝刀。しかし自在に操るまでには時間がかかった。「プロに入った時は野茂さん全盛期。まねたんですが、全然落ちなかった」。元パイレーツの桑田真澄氏のスプリットを参考にし、縫い目に指をそえる投げ方に改良。さらに「フォークでストライクを取る練習をたくさんした」と磨きをかけた。今ではダルビッシュが「日本一の変化球」と一目置くほど。上本を一ゴロに打ち取った最後の147球目も、やはりフォークだった。

 これでチームは再び貯金を1とした。29日の本拠地開幕戦まで残り1試合となり、星野監督は「岩隈は心技体が充実している。貯金できればなおいいが、これで勝率5割以上で仙台に帰れる」と力を込めた。「あした勝って仙台に戻りたい」と岩隈。エースの願いは楽天ナインの、そして仙台のファン全員の願いだ。

 ≪岩隈 楽天では初めての開幕3連勝≫岩隈(楽)が今季初完封勝利で、開幕戦から3試合で3連勝。近鉄時代の03年に初登板から6連勝、開幕投手だった04年には12連勝しているが、楽天ではこれまで05、08年の2連勝が最多。3連勝は初めてだ。この日の13奪三振は、昨年5月15日阪神戦でマークしたのに並ぶ自己最多タイ(球団最多タイ)。岩隈は今季26回1/3を投げ27個の三振を奪い、奪三振率は9・23。まだ3試合とはいえ昨季までの通算奪三振率が6・87だけに、打たせてとるスタイルからの変化が感じられる。

 【西武“お手上げ”】

 ▼西武・中村(無安打3三振)全体的に良かった。でも打たないといけない。

 ▼西武・中島(無安打2三振)スライダーとかでタイミングをずらされて、ストライクを取られてしまった。

 ▼西武・栗山(4回に遊ゴロ併殺打)フォークは真っすぐと同じ軌道で来るので、どうしても振ってしまう。

 ▼西武・土井ヘッド兼打撃コーチ(岩隈について)良いところに来ていたんだけれど、低めの見極めができないと崩せない。

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2011年4月27日のニュース