リベンジ完封!斎藤、史上6人目の30勝&300K

[ 2010年10月5日 06:00 ]

5回2死満塁、市丸の適時打で一走・斎藤は激走する

 【早大7-0東大】東京六大学野球は4日、神宮球場で3回戦1試合が行われ、早大の斎藤佑樹投手(4年)が東大打線を散発4安打に封じ、08年秋の法大3回戦以来、2年ぶりの完封勝利。東大戦初黒星を喫した2日の1回戦のリベンジを果たした。斎藤は今季3勝目で史上21人目の通算30勝に到達すると同時に、史上6人目となる30勝&300奪三振も達成した。早大は首位に立ち、斎藤はエースとして主将としてラストシーズンに頂点を目指す。

 こんな荒々しい斎藤は見たことがない。4回だ。1死二塁から6番・舘に投じた2球目。146キロの内角直球を舘がよけず、死球をアピール。判定はボールとなったが、険しい表情でマウンドを下りてきた斎藤は打者をにらみながら何事かつぶやいた。
 「確実にストライクだと思ったので(当たりにきた舘に)ちょっと頭にきました」。マウンドではめったに喜怒哀楽を出さないが、珍しくうっすらとひげをたくわえた面構え同様、勝負への執念を前面に出した。
 なりふり構わず勝ちにいった。2日の1回戦では35連敗中だった東大にまさかの敗戦。自身も通算7勝無敗だった相手に足をすくわれた。「普段の負けと一緒。別にショックはなかったです」と平静を装ったが、この日も序盤はボールが先行し、4回まで得点圏に走者を3度背負う不安定な立ち上がり。しかし5回。1死一、二塁から自ら左前打を放つと、2死後に市丸の左越え二塁打の間に、三塁コーチの制止を振り切り一塁から果敢に本塁を狙った。アウトにはなったものの「主将なので点を取る姿勢というか、自分で取りたかった」。投げても最後までマウンドを譲らず、2年ぶりの完封勝利。MAX147キロをマークするなど、中1日での登板にもかかわらず高い修正能力をあらためて示した。
 この勝利で85年の歴史を誇る東京六大学野球で、わずか6人しか達成していない30勝&300奪三振をマーク。「個人的にはもっとできたな、という思いもある。最初は(六大学最多の)48勝が目標でした」と本音ものぞかせたが、「5人しかいないと聞くとありがたい数字。ここまで来られてうれしい。ずっと勝ってきたわけじゃなく、今までいい経験をさせていただいた」と感慨にふけった。
 1年春にいきなり早大史上初の開幕投手を務めて初勝利。しかし大人の体に成長し始めた3年からは、高校時代のような投球フォームには無理が生じ、悩み苦しんだ。この日の9回にマスクをかぶった早実時代からの女房役の白川は「高校時代のフォームは、体に筋肉がついたし、難しい。今のフォームは高校のころとは別のもの」と話す。
 それでも斎藤は挑戦をやめない。「自分が良くなるために変えることは、怖くない」。今の自分に合った理想のフォームを見つけるために、試行錯誤を繰り返す。

 ▼早大・応武監督 東大は強い。フリー打撃を見ても鋭い打球を飛ばしている。斎藤はよくリベンジしてくれた。

 <東大1年生エースは3失点>初戦で斎藤に投げ勝った1年生の鈴木は4回まで無失点でしのいだが、中盤に球威が落ちて7回途中3失点で降板した。「もう少し踏ん張りたかったです。1つ勝ってもきょう負けたら意味がないので」。それでも1年生ながら一躍、エースに躍り出た格好で今後の活躍が期待されるが「まだまだ体力が足りない。他大のエースは1、3回戦で完投できる」と高い意識をのぞかせた。

続きを表示

2010年10月5日のニュース