楽天サヨナラ!CSマジック点灯しちゃうぞ

[ 2009年9月2日 06:00 ]

<楽・西>9回1死一、二塁 リンデン(中央)は中前にサヨナラ適時打を放ち、ナインの手洗い祝福を受ける

 【楽天3―2西武】楽天は1日、クライマックス・シリーズ(CS)進出を懸けた4位・西武との直接対決で、エースの岩隈久志投手(28)がプロ野球史上5人目となる全員奪三振を記録するなど“魂の132球”で、9回のサヨナラ勝利を呼び込んだ。西武とのゲーム差を4に広げ、2日の同戦に勝てば、球団創設5年目にして初のCSマジック「27」が点灯する。

【試合結果
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 捕手のブロックをかいくぐり、代走・内村が本塁に滑り込む。次の瞬間にはサヨナラ打を放ったリンデン目掛けて、ナインが一斉に突進する。草野がミネラルウオーターのシャワーを浴びせ、山崎武が後ろから跳び蹴り。まさに、お祭り騒ぎ。歓喜の輪に加わろうとする岩隈だけが少し右足を引きずっていた。けいれんを起こしながらも9回、132球を投げ抜いた後に待っていたサヨナラ勝利。報われた――。心からの笑顔にそう書いてあった。
 「我慢のピッチングで最後まで投げて、最後に決めてくれたので感謝したい。先週から一番、懸けていた試合。前回やられていたし、やり返したかった。きょう勝って突き放したい気持ちもあったし、そういう意味でもうれしいですね」
 CS進出争いの命運を握る大一番は2週連続の涌井とのエース対決となった。前回、8月25日。岩隈は10回149球を投げながらも、打線の援護に恵まれず、チームも延長11回サヨナラ負け。この日も重い試合展開だった。2回2死二塁からボカチカのバットを折ったが、先制の左前打を許す。3回2死から5回まで7者連続三振を奪ったが、またも打線が拙攻を繰り返す。それでも岩隈の心は折れなかった。エースとしての意地が支えた。静かな男が試合前に山田バッテリーコーチに「絶対、負けられない」と強い口調で訴え、試合中も着替えのためにベンチ裏に戻っても、味方の走者が出るたびに「よしっ」と声を出した。そして全員奪三振の計11三振。「最初から飛ばしていったからバテましたよ。もういっぱい、いっぱい」。荒い息遣いの中で最後は笑顔がこぼれた。
 野村監督も「エース同士の投げ合いで見応えのある試合だった。前回白星をつけられなかったから、どうしても岩隈に勝たせたかった。負けたら悔いが残ったけど、全部吹っ飛んだ」とねぎらった。
 5連勝で4位の西武に4ゲーム差。そればかりか、2位のソフトバンクにも3ゲーム差。2日の西武戦に勝てば、CSマジックが点灯する。岩隈は言った。「ここまで来たら(CS進出を)逃すわけにはいかない。もう気持ちだけですよ」。クールが“売り”だったエースが興奮で顔を紅潮させた。

 ≪リンデン決めた≫1点を追う9回、楽天は代打・憲史が右翼線同点二塁打。さらに1死一、二塁からリンデンが中前打で試合を決めた。今季3度のサヨナラ勝ちで2本目のサヨナラ打に「最高にうれしい。しっかり準備できていてヒットが打てて幸せだ」と笑った。野村監督も「エルニーニョ、エルニーニョ。何か起こるぞ。よう勝ったね。フロントも困ってるやろ。今ごろになっても何もないんだから(続投は)ないよ」と監督問題に絡めながら笑いを誘っていた。

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2009年9月2日のニュース