ハマトラ軍団 サヨナラ!甲子園初切符

[ 2009年7月30日 06:00 ]

<横浜隼人・桐蔭学園>11回、サヨナラ勝ちした横浜隼人ナインは、甲子園初出場を決めて歓喜の輪を作る

 【神奈川・横浜隼人6-5桐蔭学園】神奈川大会では横浜隼人が桐蔭学園に延長11回にサヨナラ勝ちし、初出場を決めた。

 無我夢中でダッシュした。本塁に殺到した、阪神のユニホームそっくりの横浜隼人ナインが雄叫びを上げる。同点の11回2死二塁から与那覇の打球が、二塁手のグラブの横を抜けて右前に達してサヨナラ勝ち。創部20年目で、春夏通じて初甲子園を決めた水谷監督は男泣きだ。

 「僕みたいな監督でいいのか…。選手たちにいい経験をさせてもらった。人生の宝物です」。背番号11の2年生右腕・今岡が、延長11回を耐え抜いた。序盤で4失点と苦しい中、バントを極力しない“イケイケ打線”の援護を信じて粘りの投球。準々決勝から、横浜、桐光学園、桐蔭学園を相手に30イニング473球を投じた。3試合連続完投でチームを甲子園に導き「うれしすぎて言葉にならない。何も考えずただ喜んでました」とあどけない笑顔がはじけた。

 昨夏代表の慶応を指導していた星野コーチが、昨秋就任した。水谷監督は、自身初の決勝に臨むにあたって「決勝は未知の世界。起床、出発、アップなど全部任せた」と同コーチに一任。スタッフへの信頼なくして優勝はあり得なかった。
 同校に寮設備はなく、部員は自宅から通える生徒だけ。室内練習場も狭いブルペンがあるだけだ。3月の北海道、沖縄遠征では対戦校の選手の家にホームステイ。高校生として、大事なのは野球だけではないとの考えから交流を深めた。水谷監督が「スーパースターがいないと神奈川では勝てないと思ったこともあった。でも、“それは違うよ監督”と選手に教えてもらった」と再び感極まった。

 初の決勝を制した指揮官は「今年は横浜開港150年なので、その名に恥じないように頑張ります」。“ハマトラ軍団”が、夢に見た甲子園に船出する。

 <桐蔭学園 スクイズ読まれて…10年ぶりVならず>桐蔭学園が、横浜隼人に延長11回5―6でサヨナラ負け。99年以来10年ぶりの夏切符を逃した。8回にソロ本塁打で追いつかれ、延長10回1死一、三塁ではスクイズを完全に読まれて失敗。土屋監督と旧知の仲という、楽天・野村監督夫人の沙知代さんも応援に駆けつけたが、終盤の決定機を生かせなかった。土屋監督は「ご苦労さま、甲子園に連れていけなくてごめんねということです」とベンチで顔を覆うナインを気遣った。

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2009年7月30日のニュース