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沢、準決勝フランス“歓迎”「負ける気しない」

[ 2012年8月5日 06:00 ]

<日本・ブラジル>後半、大野のゴールで笑顔を見せる沢(左)

ロンドン五輪 サッカー女子準々決勝 日本2-0ブラジル

(8月3日 カーディフ )
 リベンジの舞台が整った。FIFAランク3位のなでしこジャパンは3日の準々決勝で同5位のブラジルを2―0で退け、2大会連続の4強入りを決めた。先制点をアシストするなど勝利に貢献したMF沢穂希(33=INAC神戸)は、日本時間7日午前1時開始の準決勝でのフランスとの対戦を歓迎した。昨年のW杯ドイツ大会で、直前の親善試合で2連敗した米国を決勝で撃破して優勝したようにリベンジマッチを制して、日本女子サッカー初の五輪メダルを確定させる。

 キャリア豊富な沢も、うなるしかなかった。「いいシナリオ。凄いシナリオがきてますよね」。準々決勝でブラジルを撃破して、準決勝で対戦するのは五輪開幕直前(7月19日)の親善試合で0―2と完敗したフランス。ロッカールームでは勝利の余韻に浸る間もなく「次は負ける気がしないね」という頼もしい声が飛び交ったという。

 リベンジマッチの構図は昨年のW杯ドイツ大会と同じだ。直前に敵地で米国に2度完敗したが、本大会ではPK戦に突入する死闘の末、リベンジして日本が頂点に立った。歓喜に沸いた1年前と同じストーリーを歩みつつある現状に沢は「いい意味であそこで負けて良かった。相手の特徴も分かっているし、みんなが反省した状況もつくれたしね」とほくそ笑んだ。

 指揮官とともにエースがポイントに挙げていたブラジル戦。先制点を生み出したのが沢だった。前半20分まで猛攻にさらされた後の同27分、大野が倒されて得たFK。沢は素早くリスタート。「ナガ(大儀見)が準備しているのが見えたし、セットプレーの切り替えが遅いのは分かっていたから」。前線に走り込む大儀見へ縦パスを通し先制アシストをマークした。

 「本当は(FKの位置は)もうちょっと前だったんだけど(審判に)言われなかったからやっちゃった」。してやったりの表情で振り返った。

 実は少しだけ不安があった。北京五輪で4強入りしながらメダルを獲れなかった沢らは、その悔しさをバネにここまで来た。だが北京五輪を経験していない選手は、その屈辱を実感していない。微妙な温度差を感じていた。それが大一番でどう作用するか。沢は、その不安を打ち消すため、先頭に立ち体を張った。

 準決勝の会場はウェンブリー競技場。サッカーの聖地にたどり着いた。「なでしこが(ウェンブリーのピッチに)立てるのは名誉なこと」。勝てば日本女子サッカー界初のメダルが確定する。歴史的な場所で歴史を刻む。

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2012年8月5日のニュース