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“人類最強の女だ!”吉田沙保里7連覇

[ 2009年9月26日 06:00 ]

金メダルを手に笑顔を見せる女子55キロ級の吉田沙保里(右)と同63キロ級の西牧未央

 レスリング世界選手権第4日は24日、デンマーク・ヘルニングで行われ、女子55キロ級決勝で吉田沙保里(26=綜合警備保障)がソナ・アフメドリ(アゼルバイジャン)に快勝し、自身の持つ女子の史上最多連続優勝記録を「7」に更新した。吉田は02年の初出場以来、五輪、世界選手権合わせて負けなしの44連勝もマークし、計9個目の金メダル。“人類最強の男”アレクサンドル・カレリン氏が持つ世界選手権9連覇の記録も視界に入ってきた。また、同63キロ級は22歳の西牧未央(中京女大)が連覇を達成した。

 無人の野に道をつくるのが、吉田の仕事だ。女子史上最多の連覇記録を7に伸ばし、五輪と合わせて実に9個目の金メダルを獲得。栄和人監督、父の栄勝コーチに担がれる優勝パフォーマンスは披露したが、女王に浮ついた様子はなかった。「何回も戦っている相手には本当に研究されている。でもタックルは捨てられない大事なもの」。自らの武器を再確認した試合を冷静に振り返る余裕があった。
 決して楽な戦いではなかった。今月の直前合宿では右股関節痛を発症。初戦こそ無名のマダガスカルの選手だったが、2回戦は過去3度世界女王になったアテネ3位のゴミズ(フランス)、準決勝で北京五輪3位のバービーク(カナダ)と、組み合わせも厳しかった。だが、決勝までタックルを武器に完勝続き。フォールこそなかったが、5試合で1ピリオドも奪われない圧倒的な強さだった。
 北京五輪後も休むことなく大会出場を続けるとともに、新たな取り組みも始めた。筋トレの量を増やし、返し技を食らう危険のある得意のタックルを封印して、相手を崩す組み手の技術も磨いた。「以前は試合ごとに腕が張って力が入らないことがあったけど、きょうはパンパンにはならなかった」。基礎体力のアップとともに、封印するどころか逆に得意のタックルの仕掛けがより鋭くなった。吉田が無敵の女王として君臨し続けられる最大の理由は、そのあくなき向上心があるからだ。
 02年から大舞台はすべて優勝し、8年連続の世界一。昨年1月の国別団体戦W杯で苦杯を喫したものの、その後の連勝も27まで伸びた。選手紹介の場内アナウンスでは、“人類最強の男”カレリンが引き合いに出される絶対女王。「ロンドンまで負けなしでいきたい」という吉田が3年後の五輪まで優勝し続ければ、世界選手権9連覇、五輪・世界選手権を合わせた12大会連続優勝という“人類最強の男”の記録に並ぶ。そして、その大記録はもう、手の届くところにある。

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2009年9月26日のニュース