琢磨3つの夢 インディ500V、総合優勝、日本開催再び

[ 2013年4月27日 06:00 ]

花束を手にフォトセッションで笑顔を見せる佐藤琢磨

 自動車のインディカー・シリーズ第3戦ロングビーチで日本人初優勝を達成した佐藤琢磨(36=A・J・フォイト)が26日、帰国後に都内で凱旋会見を行った。佐藤が掲げた目標はシリーズ最高峰のインディアナポリス500マイル(インディ500)制覇、総合優勝、11年を最後に開催されていないインディジャパンの復活。進化を続ける36歳のヒーローが、3つの夢に向かって走り続ける。

 誇らしげな表情で、ヒーローが無数のフラッシュを浴びた。21日のロングビーチを制し、歴史に名を刻んだ佐藤の凱旋会見に、約100人の報道陣が集結。F1から転向して4年目、52戦目で日本人初優勝を果たした36歳は、「長らくお待たせしました!」と笑いで会見スタートの“グリーンフラッグ”を振った。

 完璧なドライビングと完璧なピットワークでたどり着いた頂点。「感謝の気持ちでいっぱい。みんな見てくれているかなあって(日本の)朝早かったので心配だった」。歴史はつくったが、ここがゴールでないことは佐藤自身が一番理解している。「1勝できて、ここからが勝負。連戦連勝でいきたい」。精かんな表情で見据える先には、3つの壮大な夢がある。

 5月5日の第4戦サンパウロを終えると、26日にはシリーズ最高峰のインディ500(インディアナポリス)が待つ。昨年は最終周の第1コーナーまでトップ争いを演じた。「インディ500を戦うのは今からとっても楽しみ。トップを走りたい」。総合優勝争いでも首位カストロネベス(99点)に6点差の2位。今年のマシンの最大の強みは「安定感」と言う。安定したレースを続ければ、総合優勝も現実味を帯びてくる。「2位にいることを大切にしたい。シリーズランキングでどう闘うか、これまで以上に意識したい」と気合十分だ。

 ともに日本人初のインディ500制覇、総合優勝に加え、もう1つの夢がある。それは経済環境を考慮し、11年を最後に開催されていないインディジャパンの復活だ。「復活へいろんなハードルがあると思うけど、僕がいいリザルトを叩き出して“まだ日本で走れないのか!”って言ってみたい」。ロングビーチの歓喜はまだ序章。モータースポーツ界の未来を背負う佐藤の果敢なアタックは、ここからが見せ場だ。

 ▽インディカー・シリーズ F1と同様、タイヤが露出しているオープンホイール型の車で争う自動車レース。「インディアナポリス500マイル(インディ500)」を頂点としたシリーズ。96年に発足し、現在では北米最高峰の地位を確立した。今季は全19戦。シャシーは全車共通(ダラーラ)で、今季はホンダとシボレーがエンジンを供給しており、佐藤はホンダエンジン。最高時速は優に300キロをオーバーする。

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