元日本ボクシング連盟会長・山根明さん死去、84歳 「奈良判定」「男・山根明」強烈キャラでTV出演も
アマチュアを統括する前日本ボクシング連盟会長の山根明(やまね・あきら)さんが31日午前3時50分ごろ、肺がんのため大阪市内の病院で死去した。84歳。大阪府出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。後日「偲ぶ会」を行う予定。喪主は妻・山根知巳(ともみ)さん。
山根氏は2000年シドニー五輪で日本代表監督を務め、常務理事などを経て、2011年2月に会長就任。国際大会への積極的な派遣などの強化策を打ち出し、12年ロンドン五輪では村田諒太の金メダルなど日本勢初の1大会複数メダルにつなげた。しかし「終身会長」としての強権的な組織運営は反発を呼び、助成金不正流用や反社会勢力との交遊なども問題となり、2018年8月に会長辞任を発表した。
自身を「男・山根明」「カリスマ」と表現してきた山根会長。強面にサングラスの風ぼう、強烈なキャラクターや「奈良判定」などの言動で一時はワイドショーで見ない日はないほど“時の人”となった。18年の会長辞任後はバラエティー番組などに多数出演。「奈良判定」は同年の「ユーキャン新語流行語大賞」トップ10入りした。俳優業にも挑戦するなどテレビで活躍する一方、翌19年には日本ボクシング連盟総会で、審判の不正や助成金の流用などの問題で山根さんら当時の幹部3人の除名が正式決定。事実上の永久追放が確定した。
この日、山根さんのインスタグラムが更新され「山根明、訃報のお知らせ」とし妻・知巳さんの名で「夫、山根明が2024年1月31日、肺がんのため、大阪市内の病院で84歳で永眠いたしました。ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んで通知申し上げます」と報告。「尚、この度の葬儀に関しましては故人ならびに家族の意思によって、家族のみで行うことに致します。後日、故人を偲ぶ会を設ける予定ですので、葬儀へのご参列、お供え、お花、ご香典は、失礼ながら辞退とさせていただきます。何卒よろしくお願い申し上げます」と後日、「偲ぶ会」を行う予定だと発表した。そして「これまで山根明を応援いただいた皆さまに心より感謝申し上げます」と結んだ。
山根 明(やまね・あきら)1939年(昭14)10月12日生まれ、大阪府堺市出身。91年、日本ボクシング連盟理事、94年国際ボクシング協会常務理事に就任。11年に日本ボクシング連盟会長就任後、12年に終身会長となる。18年7月、不透明な財務運営や不正な審判行為(奈良判定)などの疑惑が浮上。さらに反社会的勢力との交際が発覚し、同8月に辞任した。19年に自伝を出版。テレビでバラエティー番組に出演し、俳優業にも挑戦していた。
▽奈良判定 山根氏が奈良県連盟元会長だったことから、2011年に日本連盟の会長に就任後、奈良県の選手に有利な判定を下させていたとされる問題。奈良県の選手が試合をする場合、既に決まっていた審判を山根氏の指示で交代させ同県の選手を勝たせるようにしていた。相手選手を勝たせた場合、山根氏が厳しく叱責(しっせき)したり、その後の大会に招へいされなかったりした。16年いわて国体成年男子バンタム級1回戦は、奈良県選手から2度ダウンを奪った岩手県選手が判定負け、疑惑の象徴として取り上げられた。
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