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尚弥 日本人2人目の4階級制覇!史上初の2階級4団体統一へ「スーパーバンタム級で最強」

[ 2023年7月26日 04:45 ]

WBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦   〇WBC1位WBO1位 井上尚弥《8回1分14秒TKO》統一王者スティーブン・フルトン● ( 2023年7月25日    東京・有明アリーナ )

8R、猛然とラッシュする井上(撮影・長久保 豊)
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 新モンスター伝説の幕開けだ!前4団体統一世界バンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)がWBC&WBO世界スーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン(29=米国)を8回1分14秒TKOで下し、2団体新王者となった。スーパーバンタム転級初戦でも圧倒的な強さを見せ、日本人2人目の4階級制覇も達成。年内にも男子史上初の2階級4団体統一を達成する可能性が高まった。

 新階級でも怪物は怪物だった。勝利の瞬間、コーナーポストに上り何度も拳を突き上げたモンスター。「スーパーバンタム級最強と思えるフルトンを8ラウンドで倒すことができた。このスーパーバンタム級で最強と言えるんじゃないかな」とWBCとWBO2本のベルトを肩にかけ誇らしげに笑みを浮かべた。

 勝負が決したのは8回、井上が左ボディージャブから右ストレートを一閃(いっせん)。プロキャリアで一度もダウン経験のないフルトンをマットに沈めた。再開後はコーナーに追い込んで一気にラッシュ。王者にクリンチを許さず、レフェリーが試合を止めるまで左右の強打を浴びせ続けた。前日計量時、挑発的な態度で“上から目線”だった王者をリングの上で黙らせた。

 対策が実った。身長4センチ、リーチで8センチ上回る相手。体格差を埋めるため、“仮想フルトン”として1メートル77で、いとこの浩樹(31)らと約150ラウンドのスパーリングを重ねた。長身の浩樹にも、素早い踏み込みから距離を詰め、リーチの差を苦にしなかった。「ずっと取り組んできた(懐への)入り方」と父・真吾トレーナーが表現する高速ステップインで相手の懐に入り、体格差での不利を覆してみせた。井上の一瞬のスピードに王者も「見えなかった」と舌を巻いたほどだ。

 スーパーバンタム転級初戦、1・8キロの階級の差を力に変えた。ジム先輩の元3階級制覇王者・八重樫東トレーナーが考案したフィジカル強化の「八重トレ」を21年後半から導入し、この階級で戦う準備を進めてきた。井上は「スピード、体重の乗り方、ステップの安定感。全て良い方向に傾いた。この階級でやれることを証明できた」と自身も納得のKO劇。3月に拳を痛めて5月予定の試合が延期された影響も全く感じさせなかった。

 区切りとなる世界戦20連勝。井岡一翔(34=志成)に続く日本人2人目の4階級制覇を無敗で達成した。「今年中に、この2本のベルトを懸けてやりましょう」。標的タパレスに宣戦布告するなど、バンタム級に続く史上初2階級での4団体統一へ早くも気合十分。日本が世界に誇るモンスターがまた異次元のステージに足を踏み出した。

 《フルトン“完敗”プロ初のダウン》無敗の王者・フルトンがマットに沈んだ。中盤に盛り返し、何度かクリーンヒットを浴びせたが、8回に井上の連打の前にプロ初のダウン。その直後の2度目のダウンでTKO負けとなった。プロ22戦目にして初黒星。「井上は偉大なファイターだ。強かった」と認めつつも、ダウン時に最初に浴びた左ボディージャブについては「見えなかった。パワーというより、タイミングだったと思う。残念ながら負けたが、悪い気分にはなっていません」と強がった。

 ◇井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日生まれ、神奈川県座間市出身の30歳。新磯高(現・相模原弥栄高)で高校7冠などアマ81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。元日本、元東洋太平洋ライトフライ級王者。14年4月に6戦目でWBC世界同級王者、同12月に8戦目でWBO世界スーパーフライ級王者。18年5月、WBA世界バンタム級王者となり3階級制覇。19年5月にIBF王座、22年6月にWBC王座、同12月にWBO王座も獲得して史上9人目、バンタム級では初となる4団体王座統一を達成。身長1メートル65、リーチ1メートル71の右ボクサーファイター。

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