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井岡陣営が禁止薬物検出で潔白主張も…JBC説明「大麻成分吸引し、科学的に証明」

[ 2023年6月23日 04:30 ]

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ   王者 ジョシュア・フランコ《12回戦》同級6位 井岡一翔  ( 2023年6月24日    大田区総合体育館 )

ポーズを取るフランコ(左)と井岡(撮影・光山貴大)
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 ボクシング元世界4階級制覇王者・井岡一翔(34=志成)が昨年12月31日のジョシュア・フランコ(27=米国)とのWBO&WBA世界スーパーフライ級王座統一戦時に行ったドーピング検査で、禁止薬物の大麻成分(THC)が検出された問題について、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛本部事務局長が22日、都内で取材に応じた。世界反ドーピング機関(WADA)による基準値を下回っていたため、JBCは違反に当たらないと判断。24日、フランコとの再戦となる世界戦は予定通り行われる。

 日本人男子初の世界4階級制覇王者にとって2度目となる薬物騒動。激震が走る中、安河内本部事務局長は「(井岡選手は)大麻成分があるものを吸引し、代謝物が出たことが科学的に証明された」と重い口を開いた。

 昨年末の試合前に行った検査で井岡の尿検体から禁止物質のTHCの代謝物、THC―COOHが検出された。WADAが定める基準値を超えるものではなくドーピング規定違反ではないと強調したが、A検体、B検体ともに大麻成分が検出されたことは事実。7月の倫理委員会で倫理規定に違反するかどうかを協議することを明らかにした。

 同様の問題が起きた2年前の反省からJBCはより慎重な手続きを踏み、B検体の検査結果が出たのは今月17日。それを世界戦直前に発表したことについては「試合後に公表して隠蔽(いんぺい)を疑われたくなかったこと、フランコ陣営から試合後に“なぜ公表しなかった”と言われる可能性もあった」と説明した。

 井岡陣営は検査に協力的で、前日に「大麻等の禁止物質を摂取も使用もしておりません」などとコメントを発表するなど一貫して潔白を主張。前回の疑惑時に影響した可能性も指摘された合法のCBDオイル(大麻草から抽出される成分を含む)は今回使用はなかったという。ドローに終わった前回から完全決着をつけるべく、WBO王座を返上してまでフランコとの即再戦を決断した井岡。23日には前日計量が行われる中、思わぬ形で大きな注目を集めることになった。

 ▽21年のドーピング騒動 20年大みそかの田中恒成(畑中)戦後、ドーピング検査で大麻成分に陽性反応を示したと、21年4月に週刊誌などで報じられた。井岡陣営は完全否定。JBCは第三者による倫理委員会を立ち上げて調査し、5月に「ドーピング違反はなかった」と結論付けた。検体管理に不備があり、手順にも重大な瑕疵(かし)があったとして、JBCは井岡側に謝罪した。

 《JBCルール明確基準なし》JBCのドーピング対策の不完全さが改めて浮き彫りになった。JBCは日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟しておらず、薬物問題には独自に対応する必要があるが、JBCのルール第97条には違反の明確な基準が記されていない。今回はWADAの基準値を参考に判断を示した。ジム会長らで組織する日本プロボクシング協会は「当該代謝物(大麻成分)の基準に関する事項さえ知らされていない」などとする声明を出し改善を求めた。安河内本部事務局長は「完璧なルール整備はできていない」とし、細分化された規定があるJADA加盟にも「簡単ではない」と話した。

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