なぜ…那須川天心のテレビ企画“参戦” 現役キックボクサーとして今やるべきことなのか

[ 2019年3月22日 10:45 ]

那須川天心
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 先日、大田区総合体育館で行われたキックボクシング「RISE WORLD SERIES 2019 1st Round」を取材した。お目当ては昨年大みそかにボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(42=米国)とエキシビションマッチを行った那須川天心(20=TARGET/Cygames)。主戦場に戻った那須川はメイウェザーに1回TKO負けした“後遺症”も感じさせず、本来の力を存分に発揮。その強さは今後のさらなる飛躍を期待させるのに十分なものだった。

 ところが…である。試合後のインタビュールームで発表されたのは、「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」放送決定という驚きのものだった。AbemaTVの3周年特番ということだが、過去に「亀田興毅に勝ったら1000万円」などの番組もあり、企画としては目新しくもなく、二番煎じの感は否めなない。そして、現役選手である那須川がこのタイミングで行うのか、その意味が全く理解できなかった。

 観客を集め、テレビで放送されることもあるゆえ大きな枠組で言えば、格闘技もエンターテインメントの一つ。選手がバラエティー番組に出演することを否定するつもりはない。プロである以上、お金を稼ぐことも大事だろう。しかし、本業に影響するようなことであれば、絶対に避けなければいけない。

 確かにメイウェザーとのエキシビションマッチにもリスクはあった。だが、世界的ビッグネームとの対戦は大きな注目を集め、那須川の知名度は飛躍的にアップした。また、ボクシングに対応するため、時間をかけて準備したことはキックボクシングのスキル向上にもつながるなどメリットも少なくなかった。個人的には体重差のある2人の対戦に賛同できなかったが、那須川にとっては意味のある試合だった。

 だが、今回は那須川にどんなメリットがあるのか分からない。「ボクシングでやられたものはボクシングで」の発言が本気なら、ボクシングに転向すればいい。あくまで“お遊び”と言うなら、それはボクシングという競技、ボクシングに人生を懸けている選手たちへの冒とくになる。引退後ならともかく、現役キックボクサーとして今やるべきことではないと思う。

 那須川が「日本の格闘技界全体を盛り上げたい」という思いを持ち、そして格闘技を通じて社会貢献を行っていることも知っている。RISEのリングでに立つ那須川はまぶしいほどに輝いていた。その才能は多くの人たちを魅了する。だからこそ、あえて苦言を呈したい。「自分の価値を自ら下げるようなことはすべきではない」と。(記者コラム・大内 辰祐)

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