元世界王者・田口良一に期待する“もう一花” 3・16田中恒成と激突

[ 2019年1月12日 13:14 ]

WBO世界フライ級タイトルマッチで激突する王者・田中恒成(左)と挑戦者・田口良一
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 ボクシングの元WBA&IBF統一世界ライトフライ級王者・田口良一(32=ワタナベ)の再起戦が決まった。3月16日、岐阜市の岐阜メモリアルセンターで世界最速に並ぶプロ12戦目で3階級制覇を達成したWBO世界フライ級王者・田中恒成(23=畑中)に挑戦する。

 2人は17年にも対戦するプランがあった。当時は田口がWBAライトフライ級王者、田中がWBO同級王者で、年末に統一戦を計画していたが、田中が9月の試合で両目に眼窩底骨折を負ったため白紙に。この時、田中は上京して田口に直接謝罪したという。それだけに田中にとっては「一番戦いたい相手」であり、取り戻さなくてはいけない「忘れ物」だったのだろう。3階級制覇を実現した直後には田口戦を熱望していた。

 一方、田口には迷いがあった。理由は2つ。1つは再起戦がいきなり世界戦になること。王座陥落した昨年5月の試合から10カ月のブランクに関しては「心配していない」という。田口の懸念はフライ級での実績がないまま世界挑戦すること。もう1つは「ブドラーにリベンジしたい」という思いだった。

 ブドラーに敗れた後、気持ちは1度は引退へ傾いた。だが、時間の経過とともに「このまま終わりたくない」の気持ちが強くなり、現役続行を決めた。当初はブドラーとの再戦を視野に入れていたが、「減量を考えると、勝っても長くはベルトを守れない。だったら、京口(紘人=ワタナベ)に譲った方がいいと考えた」。

 王者ゆえにライトフライ級にとどまっていたが、ここ数戦は減量に苦しんでいた。ブドラー戦の1週間前は2〜3時間しか眠れない日が続いた。「喉が渇いて、腹が減って目が覚めちゃうんです」。そしてボクシングをやっている自分自身に疑問を抱いたという。「初めて“なんで、こんなキツいことをやっているんだろう”と思ってしまった」。不完全燃焼のまま敗れたが、フライ級に上げれば、その苦しみから肉体的にも精神的にも解放される。田口は厳しい戦いになることは覚悟の上で田中戦を選択した。

 アマエリートの田中に対し、田口は高校卒業後にボクシングを始めた“叩き上げ”だが、「強い相手とやりたい」の思いは同じ。田口は13年4月に日本王座を獲得した直後には現WBAバンタム級王者の“モンスター”井上尚弥との対戦を希望。結果として敗れたが、「モチベーションが高く、自分としてはいい試合ができた」と振り返る。そして、今回は挑戦者として“中京の怪物”田中と拳を交える。「天才の2人と戦えるのはボクサー冥利に尽きます。楽しみです」。

 再起を決意後は「自分のためでもあるけど、会長、トレーナー、応援してくれる人たちのために勝ちたいという思いが強くなった」という田口。昨年9月の現役続行会見では「引退するなら、もっと派手に散りたい」と語っていたが、散るのはまだ早い。もう一花咲かせてくれることを期待している。(大内 辰祐)

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