強すぎる井上尚弥 待たれるロマゴン戦、最速のシナリオは?

[ 2016年7月28日 10:00 ]

井上尚弥

 ボクシング担当記者たちはネタに困っていた。7月18日に開かれるWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(大橋)の3度目の防衛戦発表会見は、どうすれば盛り上げられるのか。開催地が地元・座間になることは分かっていたが、誰が挑戦者になっても相手にふさわしいと思える選手が世界ランカーにいない。井上尚が強すぎて、対戦カードそのものが話題になりにくいのだ。世界ランカーたちも、できれば井上尚とは戦いたくないはず。結果的に発表された同級3位のペッチバンボーン・ゴーキャットジム(タイ)は、ランカーに片っ端から声をかけた結果、対戦を受諾した唯一の選手だったという。

 「やはり、ロマゴンの話題を振るしかない」。パウンド・フォー・パウンド(PFP)第1位、全階級を通じて最強と評価されるWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア、帝拳)が4階級制覇を目指し、WBC世界スーパーフライ級王者カルロス・クアドラス(メキシコ、帝拳)へ9月に挑戦すると発表されたばかり。ロマゴンがスーパーフライ級へ上げるのは来年以降とみられていただけに、早めの階級転向は以前から対戦を熱望してきた井上尚にとって朗報だ。現在も体が成長中の井上尚は、減量面から近い将来のバンタム級転向を視野に入れており、「無敗同士の軽量級ビッグマッチ」実現は時間との勝負でもあるからだ。

 ロマゴンの話題を振られた井上尚は当然、話に乗ってきた。「ついに階級が同じになった。実現するか楽しみになってきた」と素直に喜び、ロマゴンVSクアドラスはロマゴンが有利と予想。「統一戦なんか盛り上がっていいんじゃないですか。来年春とか」と対決をイメージした。井上尚VSロマゴンの話題はこれまでもスポーツ新聞の紙面をにぎわせてきたが、同じ階級になった相手について井上尚が語ったのならネタになる。発表会見の翌日、各紙には「来春のロマゴン戦実現へ、V3戦で強さをアピールだ」の見出しが踊った。

 では、ロマゴンも「ナオヤ・イノウエ」と名前を口にして興味を示す対決はいつ実現するのか。井上尚の試合は9月の次が12月としても、ロマゴンはもう少し間隔を空けるとみられ、次戦は来春が予想される。だが、大橋ジムの大橋秀行会長は「まずは来年、できればロマゴンと同じ興行に出ること。両者が防衛を重ねて、“もうどっちも相手がいない”と盛り上がったところでやった方がいい」という。ロマゴンは軽量級にもかかわらず米国でメーンを張れる存在となっているだけに、井上尚も国外へ出て名前を売らなければいきなり試合を組むのは難しい。来春に同じリングに上がって世界中の注目を集めたところで秋に対決、が最速のシナリオだろう。

 ロマゴンが帝拳ジムの契約選手であるため、日本へ呼んで対戦させればいいという声も聞くが、個人的には、井上尚VSロマゴンは日本よりもラスベガスやロサンゼルスで開催した方が、勝った場合に世界に与えるインパクト、衝撃度は計り知れないと思う。日本のテレビ局や広告代理店の希望は視聴率が期待できる大みそかのビッグマッチ実現なのだろうが、井上尚には世界のスケジュールで動く、将来はむしろ世界のスケジュールを動かすような存在になってほしい。 (中出 健太郎)

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