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“神の左”山中の相手、モレノは“神の目”持つ歴戦の強者

[ 2015年9月18日 11:00 ]

来日した挑戦者モレノ

 ドネア、リゴンドー、ジョニゴン…。これまで、世界クラスのボクサーを何度か取材してきた中で「危険な目」をしている野獣がいた。22日がゴングのWBC世界バンタム級タイトルマッチ。東京・大田区総合体育館で王者・山中慎介と対峙(たいじ)するアンセルモ・モレノは同じものを持っている。

 14日の成田空港。到着予定時刻の午前8時30分を1時間ほど過ぎたころ、大きなサングラスを掛け、キャップをかぶったラッパー風の男がターミナルに現れた。WBAタイトルを12度防衛したパナマの英雄だ。亀田興毅が正規王者だった時のスーパー王者で、WBAから2人に対戦指令も出ていたが実現しなかった。ネット上では「亀田逃げた」との文字が浮かんだ。モレノは負傷判定で敗れる1年前まで「バンタム級最強」だった実力者だ。

 母国パナマからオランダを経由し、22時間かけて来日。インタビューの途中でサングラスを静かに外すと、スラム街出身の男には幾度も修羅場をくぐってきた「におい」がした。山あり谷ありの競技人生。その時のポジションで顔つきは変化する。一部では「ピークは過ぎたのでは」というモレノ評。だが、ベルトを狩る獣の目は健在だ。

 一見優しい顔をしている山中も、近くで見ると鋭い目をしている。それは、ベルトを守るというディフェンシブな姿勢ではなく、獲物を捕らえようとする攻撃的なものである。

 当たれば倒れる“神の左”を持つ王者と、最高の防御を支える“神の目”を持つモレノとの「バンタム級頂上決戦」。ピークにいる獣同士の激突が、ボクシング史に残る勝負になることは間違いない。(宗野 周介)

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2015年9月18日のニュース