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徳山昌守氏が分析…「後の先」を王者にやられた井岡

[ 2014年5月8日 08:40 ]

観戦する徳山昌守氏

IBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦 ○王者アムナト・ルエンロン 判定 井岡一翔●

(5月7日 大阪・ボディメーカーコロシアム)
 ひと言で言えば、一翔君は王者アムナト選手の老かいさにやられました。王者は途中から明らかにスタミナが切れていましたが、それをごまかすすべを持っていました。一番は少し皮肉を込めて言えば「ヒット&クリンチ」です。減点1は取られましたが、打った後に腕を絡めず体を預けて距離を縮める技術は見事でした。

 もう一つはカウンター。一翔君が前に出るとカウンターのフックやアッパーを合わせられました。出てくればカウンター、入り込んだらクリンチと省エネボクシングの前に、良さを全て殺された印象です。

 私が考える究極のアウトボクシングは相手を先に動かして、それに合わせて攻撃する「後の先」(ごのせん)のボクシング。それをやられてしまいました。勝負に「たられば」はありませんが、相手を先に動かすことができていれば、勝機はあったでしょう。ただ、この1敗はさらに強くなる布石です。ぜひリベンジしてもらいたいし、後になって、あの負けがあったから今の自分があるという負けにしてほしい。

 高山君は序盤はムキに前に行って相手の左をもらいました。中盤以降は持ち味であるフットワークの良さとスタミナを生かして難敵を攻略しました。序盤から、相手の懐への出入りの良さを出せていれば、これほどの苦戦はしなかったはずです。(徳山昌守=元WBCスーパーフライ級王者)

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2014年5月8日のニュース