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粟生「自分の力が足りなかった」 シナリオは白紙

[ 2012年10月27日 20:15 ]

11回、ガマリエル・ディアス(左)のパンチを浴びる粟生隆寛

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 粟生隆寛0-3ガマリエル・ディアス

(10月27日 東京国際フォーラム)
 最初から明らかに動きが悪く、3回にバッティングで左目の上を切った。12回終了のゴングが鳴ると、粟生は負けを覚悟したような表情だった。傷だらけの痛々しい顔で「自分の力が足りなかった」と認めた。

 初めて経験するアクシデントに「血が目に入って、初めて見づらいというのを味わって焦った」と動揺を隠せなかった。思うように距離感をつかめず、得意のカウンターも不発。ジャッジが3人とも粟生有利と採点した回は一つもなく、相手に2点の減点がなければもっと大差がついていた。

 実は調整がうまくいかず、体調不良が続いていた。今月初めにジムの本田会長に「もう試合をキャンセルするか」としったされると、泣きながら「頑張るのでやらせてください」と懇願したという。

 勝てば来年は海外での防衛戦、内山との統一戦も期待されていた。全てのシナリオが白紙となり「一から出直したいですけど…」と小声でつぶやいた。高校6冠や世界2階級制覇を達成したエリートが、プロ10年目でボクシング人生の岐路に立たされた。

 ▼帝拳ジム・本田明彦会長 体に力が入らない、ひどい状態で練習していたから予想通り。原因が分からないから、どうにもならない。こんなに調子に幅があるなら、世界王者の資格はない。

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2012年10月27日のニュース