×

五輪見えたでぇ~!しずちゃん“笑い捨て”全日本V

[ 2012年2月12日 06:00 ]

4R、鈴木(左)に強烈なパンチを見舞う山崎

アマチュアボクシング全日本女子選手権最終日

(2月11日 広島市中区スポーツセンター)
 お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブエージェンシー)がミドル級(リミット75キロ)決勝で、鈴木佐弥子(30=ワールドスポーツ)に26―11で判定勝ちし優勝。五輪代表枠を争う世界選手権(5月、中国・秦皇島)代表に選ばれた。世界選手権でベスト8に入ればロンドン五輪出場が内定する。笑いを捨てて練習に打ち込んだ4年間の努力が実り、夢の舞台に一歩近づいた。

 リング上にいたのは、お笑い芸人のしずちゃんじゃなかった。前に出る鈴木と壮絶な打ち合いを展開。1メートル82の巨体で1メートル68の相手を圧倒した。最大の見せ場は2回。ワンツーから右ストレートでスタンディング・ダウンを奪った。3、4回はパンチを食う場面もあったが、手数で上回った。2分×4ラウンドの激闘を26―11の大差判定で制した。リングを下りて、梅津正彦トレーナー(43)から髪の毛をクシャクシャにされると、ようやくいつもの人懐こい笑顔を見せた。

 「人生で初めて一番になれました。今までは泣いてばかりでしたけど、きょうは初めて泣きませんでした。本当にうれしい」。金メダルを手に山崎は感慨に浸った。ミドル級は出場3人。自身が戦ったのはわずか1試合とはいえ日本一のタイトル、そして世界選手権代表を手中にした。五輪への道もつながった。

 人気漫画「あしたのジョー」の影響で趣味でボクシングを始めたのは07年。08年、ドラマでボクサー役を演じ、試合出場への思いが募り、本格的に打ち込んだ。09年2月にC級ライセンス取得。女子ボクシングがロンドン五輪の正式種目に決まり目標が定まった。梅津氏に師事し1日6時間以上の練習に耐えてきた。

 昨年5月には全日本の強化選手に指定。強化合宿で初の実戦形式スパーに臨みレフェリーが試合を止める“初勝利”を収めた。その後は韓国やインドネシアなど海外で武者修行を敢行。昨年9月に台湾で初の公式戦「台北市国際カップ」に出場したが地元選手に大差の判定負け。その敗戦を糧にさらに練習に励んだ。

 次なる目標はアジア選手権(3月16日開幕、モンゴル)。「やっと五輪のスタートラインに立てた。後で振り返ったとき、きょうの自分は弱かったなと思えるくらい強くなりたい。練習あるのみ。マネジャーと日程を調整し、しばらくは練習に集中できる環境づくりをしたい」。全くボケることなく、夢の舞台を見据えた。

 ◆山崎 静代(やまさき・しずよ)1979年(昭54)2月4日、大阪府茨木市生まれの33歳。大阪・茨木西中時代は陸上部で砲丸投げ選手。茨木西高時代は女子サッカー部に所属していた。03年に山里亮太(34)と「南海キャンディーズ」を結成。ボケ担当。04年ABCお笑い新人グランプリで優秀新人賞受賞。1メートル82。血液型A。

続きを表示

この記事のフォト

2012年2月12日のニュース