まるで敗者…秋山初勝利に嵐のブーイング
「UFC100」が11日、米ラスベガスのマンダレイベイ・イベントセンターで行われ、注目の秋山成勲(33=クラウド秋山道場)はデビュー戦で米の強豪アラン・ベルチャー(25)と対戦。序盤から激しい打ち合いで左目を腫らしながらも、なんとか2―1の判定で初勝利を挙げた。ただ、完勝とはほど遠い内容に本場のファンはブーイングの嵐。距離感や金網の使い方などオクタゴン(八角形のリング)への課題が浮き彫りとなった。世界ヘビー級統一王座決定戦は正規王者のブロック・レスナー(31=米国)が暫定王者のフランク・ミア(30=米国)を2R1分48秒TKOで勝利した。
【試合結果
】
道着姿の秋山が入場すると、1万673人の大観衆は総立ちで出迎えた。場内に響き渡る歓声と拍手。東洋から来た格闘家らしく、オクタゴンの前で正座をして一礼すると、場内の興奮は最高潮に達した。
大歓声に押され、秋山は序盤から積極的に左右のパンチを繰り出した。だが、開始2分すぎにベルチャーのローキックがもろに急所に入るアクシデント。そこから何かが狂い始めた。2Rにはテークダウンしてもきめきれない。逆にベルチャーのパンチを食らった左目が腫れ始める。最終Rにはほとんど前が見えない状態になり、距離感がつかめずパンチは空振りばかり。最後はなんとか2―1の判定で勝利したものの、ふがいない戦いぶりに失望したラスベガスのファンは一転してブーイングを浴びせた。
一言もしゃべらず、まるで敗者のようにセコンドの宇野に肩を借りてリングを降りた秋山はそのまま病院に直行。幸い左目に異常は見つからなかったが、ショックは隠せない。UFC8戦目のベルチャーは最終Rには金網を利用したパンチを使うなど、経験の差は歴然としていた。広さの把握や距離感、相手への圧力のかけ方など、収穫よりも課題のほうが浮き彫りになったのは間違いない。
試合後の総括でダナ・ホワイト社長も「グレートなファイトスタイルだった。今回の判定は100%同意できないが、ジャッジが決めたこと」と言葉を濁し、「秋山は大きい舞台にはまだ数試合戦う必要がある」と続けた。ほろ苦いUFCデビュー戦。日本ではブーイングを力に変えてきた秋山だけに、ここからどう立て直していくかが注目される。
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