二所ノ関親方「荒れる春」を展望 綱獲り目指す貴景勝 初日から試練

[ 2023年3月12日 04:41 ]

初場所で翔猿(右)に敗れた貴景勝
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 大相撲春場所は12日に、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。横綱・照ノ富士(31=伊勢ケ浜部屋)が4場所連続で休場。初場所で3度目の優勝を果たした大関・貴景勝(26=常盤山部屋)の綱獲りが注目されるが、関脇・霧馬山(26=陸奥部屋)ら三役陣の躍進も著しい。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が波乱含みの「荒れる春」を展望した。

 大阪は初夏のような暖かさが続いていますが、この時季は寒暖の差も激しく調整が難しい印象があります。「荒れる春」とも言われていたように、今年も波乱含みです。

 注目は大関・貴景勝の綱獲りです。照ノ富士が今場所も不在で、屋台骨を一身に背負っての土俵。極度の重圧の中、場所の入りはいつも以上に重要度が増します。初日の相手は小結・翔猿。良くも悪くもいい相手、そうみています。昨年九州、今年初場所と連敗中。最初が肝心という意味では初日に当たりたくなかったのが本音でしょう。小兵で動き回る翔猿はしっかり当たらせてくれない、独特の距離感で対峙(たいじ)してきます。大関も対処法には頭を悩ませているでしょうが、シンプルに自分の圧力を伝えきることだけを考えて臨むことが好結果につながると思います。

 いきなりの試練ですが、難敵を退ければ流れは必ず来ます。逆境から一転して突っ走れる好機と捉えることもできます。突き押しは勢いづけば手がつけられなくなるのはこの世界の常識。綱獲りロードの大きな比重を示した一番とみています。

 次期大関候補の1番手に浮上した霧馬山は安定感が出てきました。いつの間にか9、10番勝っているイメージですが、言い換えれば自分の形さえ築き上げれば大関がぐっと近づく素材です。上手を取るとしぶとさが出るので、左右どちらかを武器にして「霧馬山といえばこれ」というものを早く確立させてほしい。

 「自分の形」といえば、三役2場所目の若元春の成長も見逃せません。左四つという形が着実に出来上がっているので、そこにこだわって磨いていくことがパワーアップの近道。左が強いので半身になりがちですが、右の上手を意識して相手と正対すれば理想的な力士に近づくことでしょう。(元横綱・稀勢の里)

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2023年3月12日のニュース