高野進氏“スタートだけ”から成長した坂井 世界と戦うため「ギア」もう一速欲しい

[ 2022年6月27日 05:10 ]

陸上・布勢スプリント最終日 ( 2022年6月26日    鳥取市・ヤマタスポーツパーク陸上競技場 )

男子100メートル予選で10秒02をマークした坂井
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 【高野進の目】追い風の中で、スタートから坂井のレースがしっかりできていた。安定したスタートの加速に加え、後半に失速しなかったことが大きい。10秒20で2着だったデーデーに、終盤でも差を縮められていなかった。

 スタートダッシュが得意なタイプに多田もいるが、前傾姿勢を続ける多田と違い、坂井は踏み込んで加速していく。昨年までスタートだけという印象だったが、今季は序盤から中盤、終盤とそれぞれの走り方がまとまってきた。ストライドが広がることで最大速度が上がり、中盤の50~60メートル付近でのトップスピードが上がっている。

 自動車に例えるならローからもう一段ギアを上げられた感じだが、世界を視野に入れるならもう一速欲しい。世界選手権切符を獲り、次の段階を目指していくと思う。定番の4人という状況から10秒台を切りそうな新しい選手がまた出てきたのは、日本陸上界にとって良いことだ。(男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

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