服部勇馬、コロナ禍転じて自己ベスト 悪条件の練習でスピード強化

[ 2020年7月16日 05:30 ]

陸上ホクレン中長距離チャレンジ第3戦 ( 2020年7月15日    北海道網走市営陸上競技場 )

男子1万メートルA組 日本人最高の4位だった服部勇馬
Photo By 共同

 陸上ホクレン中長距離チャレンジ第3戦は今年初めて観客を入れて実施し、男子1万メートルは東京五輪マラソン代表の服部勇馬(26=トヨタ自動車)が自己ベストを12秒70更新する27分56秒32で日本人最高の4位だった。女子1万メートルでは女子マラソン代表の一山麻緒(23=ワコール)も自己ベストを11秒26更新する31分23秒30で日本人トップの2位だった。

 服部が圧巻の走りを見せた。東洋大時代の5年前にベストを出した同じ網走で、マラソン代表の座を争った井上大仁にも先着。トラックでも強さを証明し「今日は28分切りが目標だった」と貫禄たっぷりに語った。

 今季初めて観客を入れたレースで周囲の期待に応えた。最もきつくなる第4コーナー付近に陣取った観客の応援を受けてラストスパート。トップの座は外国人選手に譲ったが、日本人トップとなる組4位でフィニッシュ。「27分台を出せたことはとても満足している」と笑顔を見せた。

 コロナ禍が転じてスピード強化につながった。競技場での練習が思うようにできず、不整地や土のトラックでも競技場と同じようなタイム設定でスピード練習に取り組んだ。今年からトヨタ自動車に加入したロンドン五輪1万メートル5位のビダン・カロキ(ケニア)にも引っ張られる形で実力を付けた。「スピードに対する抵抗をできるだけなくす練習をしてきました」と自信を持って臨んでいた。

 マラソン2時間5分台への手応えもつかんだ。3月の東京マラソンで日本記録を出した大迫傑の走りに刺激を受け、速さへの思いを強くしていただけに「1万メートルだけではなく、このスピードはマラソンにもそのまま生きる」と展望する。

 左太腿裏痛を悪化させた今年1月のニューイヤー駅伝以来、久しぶりとなるレースをかみしめるように走った。「走ることができる当たり前の状況がどれだけ幸せなのか認識した」と1年後の東京に向けて再スタートを切った。

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