引退の栃煌山 不器用いちず“昭和の男”貫いた15年

[ 2020年7月16日 05:30 ]

昨年秋場所での栃煌山
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 【記者フリートーク】戦法はただ一つ、もろ差しからの寄り。投げもはたきも引き出しにはない。不器用を地で行く男、栃煌山は昭和のにおいがする「絶滅危惧種」のような存在だった。

 形にはまったときは横綱、大関も一蹴する実力者。半面、ワンパターンの攻めには弱点もあった。攻略法を編み出した相手には面白いように翻弄(ほんろう)され、進歩のない取り口を批判された。性格も温厚でお人よし。相手は臆せず立ち合いで変化し、白鵬には猫だましの実験台にされた。

 何度も屈辱を味わう関取に、メンタル本の読破を勧めたこともあった。それでも泣き言は言わず相撲道を追求した。実は、キャッチボールもまともにできないなど相撲以外の運動は全く駄目だったという。不器用でも信ずれば道は開ける。15年間の土俵人生でそれを実証してくれた。(元相撲担当・黒田 健司郎)

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2020年7月16日のニュース