みちょぱ親戚が五輪切符!東洋大・池田向希 競歩男子20キロ初V マネジャー兼務で入部の苦労人

[ 2020年3月16日 05:30 ]

東京五輪代表選考会兼全日本競歩能美大会 ( 2020年3月15日    石川県能美市・日本陸連公認コース )

男子20キロで初優勝し、花束を手に笑顔の池田向希。東京五輪代表に決まった
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 20キロの男子は池田向希(21=東洋大)が1時間18分22秒で初優勝を飾り、2人目の五輪代表に決まった。マネジャー兼任で入部してから約3年。“みちょぱ”ことモデルの池田美優(21)の「はとこ」でもある“シンデレラボーイ”が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で揺れる東京五輪で表彰台を狙うと誓った。女子では昨年の世界選手権7位入賞の藤井菜々子(20=エディオン)が1時間33分20秒で優勝し、代表入りを決めた。

 実業団の強豪を抑え、鉄紺のユニホームが一番にゴールに飛び込んだ。東洋大の現役学生として3大会連続の五輪出場の系譜をつないだ池田は「最後の選考大会だったので内定するのが最大の目標。勝って得ることができて本当に良かった」と喜びを爆発させた。

 17キロすぎから16年リオデジャネイロ五輪代表の高橋と一騎打ちだ。末脚が持ち味のライバルを常に背後に感じたが「ラスト4キロから徐々にペースアップできた」と2月の日本選手権で五輪代表を決めきれなかった悔しさを1カ月後の最終選考会で晴らしてみせた。

 最強の“マネジャー”だ。浜松日体高で目立った実績がなかった池田は、50キロ競歩代表を決めている大学同期の川野将虎(21)=御殿場南高=を東洋大の酒井俊幸監督が勧誘に来た静岡県内の記録会で入部を懇願。当時は大学側に競歩の入部枠がもうなく、マネジャー兼務で許可された。「もし大きなケガをしたり結果が出なかったらマネジャーという条件付き入部です」と池田は当時を振り返って苦笑いする。

 高校時代は独学だったが、大学で酒井瑞穂コーチに出会って変わった。入学当初は「動きは硬いし、浮いているし、ランニングだなと思った」と同コーチ。地道な練習を繰り返し、フォームを修正。競歩専用のウエートトレーニングも加えた。18年世界競歩チーム選手権の金メダルを契機にマネジャーを卒業。同時に酒井監督から「ここからがスタートだ」と言われてから五輪を強く意識した。

 昨年のドーハ世界選手権に出場した際、モデルのみちょぱが父方のはとこ関係だったことを明かし、注目度が上がったが、本人は極めて冷静に現状を分析している。「まだ金メダルとは言い切れないが、五輪までには金メダルと言えるように準備したい」。チームスローガンの「その1秒を削りだせ」ならぬ、“その一歩”で金メダルをたぐり寄せる。

 ▼はとこ 祖父母の兄弟姉妹の孫で、父母のいとこの子供にあたる。アニメ「サザエさん」一家で例えると、タラオの祖父である波平の妹・なぎえの息子がノリスケで、ノリスケの子供のイクラがタラオとはとこ関係になる。サザエとノリスケがいとこ関係。漢字では「再従兄弟(姉妹)」と表記する。

《池田向希(いけだ・こうき)》
 ★生まれ 1998年(平10)5月3日生まれ、静岡県浜松市出身の21歳。
 ★サイズ 1メートル68、53キロ。
 ★家族 両親と姉。
 ★スポーツ歴 小学校時代にはテニスとスイミングスクールに通う。
 ★競技歴 浜松日体高から本格的に競歩を始め、東洋大にはマネジャー兼任で入部を許可された。
 ★主な実績 18年世界競歩チーム選手権金メダル、19年ユニバーシアードナポリ大会金メダル、19年ドーハ世界選手権6位。
 ★憧れの選手 鈴木雄介。
 ★マネジャー業務 寮の電話番に始まり給水ボトルの洗浄、ゴミ捨て、タイムキーパーなど多岐にわたる。
 ★趣味 映画や動画の観賞。寮では仲間とトランプ。
 ★自己ベスト 20キロ競歩は1時間17分25秒。

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