桐生 ガトリンにあと10センチの2位 ラスト差されて「悔しい」

[ 2019年5月20日 05:30 ]

陸上セイコー・ゴールデングランプリ大阪 ( 2019年5月19日    大阪市・ヤンマースタジアム長居 )

男子100メートル ゴールする優勝のジャスティン・ガトリン(3レーン)、2位の桐生祥秀(4レーン)、4位の小池祐貴(1レーン)、5位の山県亮太(5レーン)、6位の多田修平(2レーン)
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 男子100メートルで日本記録保持者の桐生祥秀(23=日本生命)が10秒01をマークして20年東京五輪の参加標準記録(10秒05)を突破。10秒00で優勝した17年ロンドン世界選手権金メダルのジャスティン・ガトリン(37=米国)には及ばず2位だったが、世界のファイナリストへの大きな足がかりとなった。ジャカルタ・アジア大会200メートル優勝の小池祐貴(24=住友電工)も五輪参加標準記録を突破する日本歴代7位の10秒04で4位。100メートル代表入りに名乗りを上げた。

 前回大会で0秒11差をつけられたガトリンを距離にして約10センチまで追い詰めた。最後の最後で世界王者に差し切られ「悔しいですね、ここで勝ったらガトリンに勝ったと言えたが、世界で勝ってきた選手との差があった。次からこういうことのないように中盤、後半を伸ばしたい」。世界のファイナリストを射程に捉えたことを言葉の端々に感じさせた。

 サニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が9秒99をマークした1週間後のレースで“元祖9秒台男”の桐生が黙ってはいなかった。リアクションタイムは隣のレーンを走るガトリンの0秒149を上回る0秒138と好発進。中盤以降、ガトリンと並んでも「競り合いでも自分の走りができたことはタイム以上に価値がある」と力みで失速していた以前の走りからの成長を口にした。

 10秒0台が一度も出せなかった昨季の反省も踏まえてドーハ世界選手権(9月開幕)まで続く長いシーズンを見据え体づくりにも工夫を凝らしている。「夏バテしないような体をつくりたい」と話すように、今季は3月に10秒08を出したオーストラリアでの初戦から帰国後は4月のアジア選手権に向けて調整ではなく、坂ダッシュなどで体を鍛え続けてきた。「あれだけ冬季走ってきた。やってやろうという自信がある」と精神面の動揺もなくなった。

 山県ら国内の強豪を抑えての2位。9秒98、10秒01を出したのはいずれも予選や学生の大会だった。約1カ月後には5年ぶりの戴冠を狙う日本選手権で真の日本最速を決めるつもりだ。「去年はプロとしてうまくいかなかったので結果を出したい」と目の色を変えた。(河西 崇)

 <男子400メートルリレー> 侍が名誉挽回のVだ。11日の世界リレーはバトンミスで予選失格。同じメンバーで臨み日本歴代4位の38秒00をマークし2位の米国以下を寄せ付けなかった。アンカーの桐生は「バトンを落とさなくてホッとした」と笑顔。前走の悲劇の主人公、3走・小池は「いろんな失敗レースを見た」と対策を明かした。1走多田―2走山県の中継でもたつきながらの好記録。8位以内で東京五輪出場権を得る今秋の世界選手権(ドーハ)へ弾みをつけた。
 

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