貴景勝が空手をあきらめるキッカケとなった天才空手家 今は違う競技で東京五輪を目指す

[ 2019年4月7日 21:00 ]

貴景勝
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 新大関に昇進が決まった貴景勝(22=千賀ノ浦部屋)が7日、TBSのドキュメントバラエティー「消えた天才」(日曜後6・30)に出演。相撲に転向するきっかけとなった同学年の天才空手家の存在を明かした。

 貴景勝は父親の勧めもあって幼少期から極真空手に打ち込んでいた。小学校低学年から全国で名を轟かせ、最強の名をほしいままにしていた。しかし小学3年の全国大会・決勝の舞台で、ある天才少年と相対する。小学校3年生の試合とは思えないハイレベルな攻防。延長が続く中、天才少年が繰り出した後ろ回し蹴りが貴景勝の右わき腹に炸裂し、勝負が決まった。貴景勝は当時を振り返り「ずっと記憶に残っています。一生消えない。それがあったから相撲をやった」とコメント。まさに貴景勝の運命を決めた一戦となった。

 その天才の名は石野渉生(しょうぶ)。小学生時代はもはや敵なしで世界大会でも優勝するほど。小学校通算で見ると、なんと70以上もの大会で優勝を飾っていた。貴景勝はこの才能あふれる石野に対し「キックボクシングとか闘う競技をすると思いました」と期待をかけていた。しかし高校以降、空手の大会にエントリーした形跡もなし。天才・石野は空手界から姿を消していた。

 運命の一戦から14年。大関昇進伝達式直後、貴景勝は遂に石野と再会を果たした。当然気にしていたのは「なぜ空手をやめたのか」ということ。それについて石野は「世界大会で優勝して、練習する相手がいなくなって、結局親父と組手するってなって…」と説明。年齢が上がるにつれ、仲間たちと楽しくスポーツを楽しんでいる同級生たちがうらやましくなったという。それを聞いた貴景勝は「俺もそう思ったこといっぱいある。『他のことやってみたい』っていう感覚はあった」と、石野の複雑な心境を思いやった。

 さらに石野は「ずっと勝つにつれて親父からの期待に耐えられなくなった」と、父親のプレッシャーが大きすぎたことを吐露。貴景勝は「(石野の気持ちも)分かりますけどね。親の厳しい者同士の一緒の考え」と同意するも、「でも、今になったらありがたいと感じることがいっぱいある。その時はキツいことあるけど、甘やかされていたらとんでもない人になってた」と父への感謝を忘れなかった。

 石野は現在、東京五輪の正式種目である「3人制バスケ」の選手に転身。今年4月からプロチームの「EVESSA.EXE」と契約して活動し、東京五輪を目指すこととなった。そのことを聞いた貴景勝は「スゴくうれしいです。自分が負けた相手が同じ“身体で勝負する世界に”行ってくれているのが本当にうれしいです」とコメント。続けて「お互い高めあって“彼が活躍しているから自分も”…そういう関係いれたらいいな、と思います」と、石野へエールを送っていた。

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2019年4月7日のニュース