朝比奈 女子78キロ超級 雪辱の初V「自分に負けなかった」

[ 2018年9月27日 05:30 ]

柔道世界選手権第7日 ( 2018年9月26日    アゼルバイジャン・バクー )

柔道世界選手権第7日 女子78キロ超級決勝でキューバのオルティス(右)を破り初優勝した朝比奈
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 女子78キロ超級で昨年準優勝の朝比奈沙羅(21=パーク24)が決勝でオルティス(キューバ)を破り、初優勝を飾った。今大会の女子日本代表は全9選手がメダルを獲得。女子単独開催だった1980年の第1回大会(ニューヨーク)から23回目で初の快挙となった。男子100キロ超級では原沢久喜(26=無所属)が銅メダルを獲得、小川雄勢(22=明大)は3回戦敗退。男子最重量級の完全復活は、東京で開催される来年にお預けとなった。

 指導2ずつで迎えた延長戦2分24秒、審判に促されて柔道着を直した。昨年は自分に指導が来て敗戦。それから389日、「この景色を見るために」と積み上げた努力はうそをつかなかった。オルティスに指導が行き、オール一本勝ちで戴冠。朝比奈は晴れやかな笑みを浮かべた。

 「最後に競り負けなかったのは去年があるから。自分との闘いに負けなかったのが、この1年間の成長」

 課題だった組み手が上達し、12年ロンドン五輪女王に一歩も引かなかった。十分な釣り手から先に技出しし、相手の背負い投げに何度も踏ん張った。準決勝までは投げて抑えて、全4試合とも技での一本勝ち。「自分の組み手になれたという実感がある」と自分自身を称えてみせた。

 柔道界の常識にとらわれず、昨年の世界選手権後からは我が道を歩む。同年9月末には東海大女子柔道部を“卒部”。将来は医師になることを目指しており、予備校に通う時間を確保するためだった。6月には他の代表選手が参加したスペインでの国際合宿に参加せず、モンゴルへ単独武者修行。そうした行動に「嫌なことを言われることもあった」。だが立場や状況が変わっても、支えてくれた人たちもいた。恩返しは枕元の壁に画びょうで留めた昨年の銀メダルの「色を塗り替える」こと。独自路線は間違いではなかった。

 4月には選抜体重別選手権、全日本女子選手権でアジア大会を制した素根輝(福岡・南筑高)に連敗。「負けて選んでもらった」という負い目を払しょくし「負けたから強くなれた」と感謝した。東京五輪代表は1枠。「最後は自分が勝ちます」。自分で選んだ道の先に、2020があると信じている。

 ◆朝比奈 沙羅(あさひな・さら)1996年(平8)10月22日生まれ、東京都出身の21歳。8歳で講道館の春日クラブで柔道を始める。渋谷教育渋谷高2年の13年から講道館杯4連覇。17年の全日本女子選手権で優勝し、初出場した世界選手権は準優勝。同11月の世界無差別選手権は優勝した。昨年9月限りで東海大柔道部を退部し、今年4月から東海大に在学しながらパーク24所属に。1メートル76、135キロ。右組み。得意技は払い腰、支え釣り込み足。

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