稀勢、同じ境遇の中日・松坂復活白星に勇気「気持ちよかった」

[ 2018年5月2日 05:30 ]

赤ちゃん抱っこ撮影会 ( 2018年5月1日    両国国技館 )

高安(右)とぶつかり稽古する稀勢の里
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 和製横綱が球界の怪物と同様に復活を目指す。左大胸筋の負傷などで6場所連続休場中の横綱・稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)が1日、同部屋で夏場所(13日初日、両国国技館)に向けての本格的な稽古を再開した。プロ野球・中日の松坂大輔投手(37)が30日に国内で約12年ぶりの勝利を挙げたことに刺激を受けており、再起への意欲を示した。

 全休した春場所前の3月上旬以来となる大関・高安との三番稽古で、稀勢の里がいきなり飛ばした。最初の一番で時間をかけながら左四つがっぷりで寄り切ると、鋭い踏み込みからの左差しで一気に出る相撲も見せた。高安が右肩付近を痛めたため4番だけで終わったが、結果は全勝。「動きはいい感じ。だいぶ体も張っている」と納得の様子だ。

 新横綱だった昨年春場所で連覇を果たしたが、その場所で痛めた左大胸筋などの影響で、夏場所からは6場所連続休場。丸一年、故障に苦しんできたが、前日には同様の境遇だった人物から勇気をもらっていた。それが中日・松坂の復活劇だった。

 茨城・長山中まで野球少年だった横綱にとって、6歳年上で横浜高のエースだった松坂は今でも「怪物」だ。98年夏の甲子園準々決勝のPL学園戦で、延長17回を1人で投げ抜いた試合は今でも鮮明に覚えている。それだけに、15年の右肩手術を経て勝ち星を挙げた姿に「個人的にうれしかった。気持ち良かった」と同じスポーツ選手として刺激を受けた。お立ち台での「また顔を覚えてもらえるよう頑張る」とのコメントには「あれだけ有名なのに」と感動すら覚えたという。

 夏場所の土俵に上がるかどうかは、3日の横綱審議委員会による稽古総見、7、8日の二所ノ関一門連合稽古などの内容を踏まえ、取組編成会議の行われる11日までに決断する。先月29日の綱打ちの際には「そろそろいいところを見せないと」と話した。松坂同様に復活する日が来ることを信じ、稀勢の里なりの相撲道を突き進んでいく。



≪稀勢の負傷経過≫ ☆17年夏場所(6勝5敗4休)春場所で左上腕などを負傷し、春巡業を全休。強行出場も10日目で4敗目を喫し、途中休場。

 ☆同名古屋場所(2勝4敗9休)5日目に勢に敗れて3敗目を喫した際に左足首を負傷。2場所連続で途中休場。

 ☆同秋場所(全休)夏巡業に途中合流したが、調整不足は否めず3場所連続4度目の休場。自身初の全休となった。

 ☆同九州場所(4勝6敗5休)9日目に平幕・宝富士に敗れ5敗目。1場所5金星配給は史上2度目のワースト記録。翌10日目に休場した。

 ☆18年初場所(1勝5敗9休)5日目までに3日連続で金星を配給。翌6日目に「左大胸筋損傷の疑い、左前胸部打撲で3週間の安静とする」との診断書を提出。

 ☆同春場所(全休)左胸の完治が遅れて、3月8日に休場を発表。年6場所制となった58年以降、横綱としては7場所連続の貴乃花につぐ、6場所連続となる休場となった。

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