稀勢6連勝 逸ノ城にも勝って「綱の資格」大関勝率7割超えだ

[ 2016年5月14日 05:30 ]

魁聖を寄り切り全勝の稀勢の里

大相撲夏場所6日目

(5月13日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が大相撲を制して全勝を守った。新小結・魁聖と1分18秒余りの大一番となったが、197キロの巨漢を外四つから寄り切った。大関在位27場所の成績は277勝119敗となり、7日目の逸ノ城戦に勝てば大関での勝率が7割に達する。大関・豪栄道が関脇・琴勇輝に押し出されて初黒星を喫し、全勝は横綱・白鵬と稀勢の里の2人になった。

 勝負どころを逃さなかった。稀勢の里はこれまで7戦全勝の魁聖を左四つに組み止めたが、長い相撲に。1分すぎに、ようやく右上手を取ると一気に出た。巻き替えられ外四つになると、両上手をこん身の力で引きつけて黒房下に寄り切り。大相撲を終えて戻ってきた支度部屋では多くを語らず、ここまでの6日間を「いいんじゃないですか」と静かな口調で振り返った。

 春場所では優勝した白鵬に1差の13勝。二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は14勝以上の優勝、3横綱撃破などを横綱昇進の条件に挙げている。だが、稀勢の里の安定感はこの2場所だけではない。大関在位27場所目で、その間の勝率は・699。7日目も勝てば7割の大台に到達する。昭和以降、86人の大関が誕生しているが、大関在位中の勝率が7割を超えているのは32人。その全てが横綱に昇進している。

 今場所も序盤から危なげなく白星を重ねる稀勢の里は、横綱に昇進するだけの実績を残しているということになる。この日の一番を土俵下で見守った藤島審判長(元大関・武双山)は「もともと強いですよ。安定している。先場所の13番が自信になっているんじゃないか」と評価している。

 よほどのことがない限り、場所中は稽古を休まない。それは先代師匠(元横綱・隆の里)に厳しく指導されたことも理由だが、子供の頃に身についた習性でもある。中学時代は野球部の練習を終えて家に戻ってきてからも「走らされた」という。しっかり稽古を続けられる肉体をつくりあげてきたことで、横綱に手が届きそうなところまできた。全勝は白鵬と2人だけ。早くもマッチレースの様相となってきた。(佐藤 博之)

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2016年5月14日のニュース