奨菊3日連続綱撃破!霧島以来25年ぶり 日本人10年ぶりV見えた

[ 2016年1月22日 05:30 ]

日馬富士(左)を突き落としで破った琴奨菊

大相撲初場所12日目

(1月21日 東京・両国国技館)
 大関・琴奨菊が3日連続で横綱に土をつけた。1差で追う日馬富士をがぶり寄りからの突き落としで転がした。3日連続の横綱撃破は25年ぶり。無傷の12連勝とし、06年初場所の栃東以来となる日本出身力士の優勝へ向けて単独トップを守った。13日目は高校時代からのライバルで、平幕で唯一の2敗力士の豊ノ島と対戦する。横綱・白鵬は豪栄道を突き落として1敗をキープした。

 結び前でも座布団シャワーを浴びた。3日連続の横綱撃破、無傷の12連勝で琴奨菊が国技館を興奮の渦に巻き込んだ。勝ち残りの西の控えでは目を閉じて息を整えようとしたがうまくいかない。拍手喝采を浴びれば心拍数は自然と跳ね上がる。結びを見届け戻った支度部屋では「よしっ!」と短い気合で喜びを表しただけ。横綱3連破の高揚感を問われても「ない、ない。ない」と平静を保つことに必死だった。

 鶴竜、白鵬を破った時と同様に立ち合いから一気に攻めた。「しっかり当たることだけ考えていた。自分を信じていた」。左張り手は空振り、日馬富士に左差しを許した。それでも、がむしゃらに前へ出る。左をこじ入れると右で抱えながらがぶり寄り。土俵際へ追い込み、最後は右からの突き落としを決めた。

 3日連続で横綱を倒したのは昭和以降9人目。直近は91年初場所の大関・霧島(現陸奥親方)で、14勝1敗で初優勝を飾っている。過去8人中6人がその場所で優勝。25年ぶりの快挙となった琴奨菊に周囲が初優勝を期待するのは当然だろう。八角理事長(元横綱・北勝海)は「しぶとく左を差しにいったのがよかった。3横綱を崩して優勝するのは大変なこと。価値がある」と絶賛した。

 故郷の福岡県柳川市ではこの日からパブリックビューイングが始まり、地元大関の快進撃に熱い声援を送っている。父・菊次一典さんは「勝負事で結果がどうなるか分からないけど、これだけやれると分かってもらえてよかった」と声を震わせた。当初は今月30日の挙式に合わせて上京予定だったが、前倒しで千秋楽に国技館に駆けつける。

 横綱3連戦を突破したものの、残り3日間は逆に極度の緊張を強いられる。藤島審判副部長(元大関・武双山)は「横綱に挑戦する方が気持ちは楽。下(番付下位の力士)と対戦する方がきつい。負けられない気持ちになる」と指摘した。

 過去には終盤に辛酸をなめている。11年名古屋場所は13、14日目と平幕に連敗し、大関昇進を逃した。詰めが大事ということは痛いほど知っている。「自分で納得できるように。悔いの残らないようにやりたい」。06年初場所の栃東以来10年ぶりの日本出身力士優勝へ。強い気持ちで土俵に立つ。

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2016年1月22日のニュース