登坂「最高のタイミング」でV3!次世代エースが初五輪切符

[ 2015年9月11日 05:30 ]

女子48キロ級でアゼルバイジャン選手を破り3連覇を達成し、ガッツポーズで喜ぶ登坂絵莉

レスリング世界選手権第3日 女子48キロ級決勝 登坂絵莉 3―2 スタドニク

(9月9日 米ラスベガス)
 登坂が待ち続けた「最高のタイミング」は残り20秒で訪れた。0―2と後がない状況。片足タックルで相手の左足に絡みついた。必死に振りほどこうとするスタドニク。追いかける登坂。バックに回って起死回生の2点を挙げた時には、残り時間は10秒になっていた。

 得点は2―2。しかし内容の差でリードを奪った土壇場の一撃。「焦って攻めてもカウンターを食らう。最高のタイミングで入らないと駄目。攻め急がずにフェイントでバテさせて、ラストチャンスに懸けた」。相手の要求したビデオ判定が認められず、最後にさらに1点が加点された。

  ロンドン五輪銀メダリストのスタドニクにはパワーと強いタックルがある。勝負は終盤と見定め、冷静にゲームプランを実行しての3連覇。初の五輪代表も勝ち取って「本当によかった。どうなるかと思った」とマット上でむせび泣いた。

 昨秋から左手首や股関節、左肘や腰などケガが続き、十分な練習が積めない時期が続いた。先月の合宿でも「得意の片足タックルの感覚がおかしい。もう痛くないのに自然と体が引いてしまう」ともらしていた。しかし勝利への強い意志は、肉体の不安を克服した。

 女子レスリングが採用された04年アテネ五輪以降で、世界選手権3連覇以上の日本女子は4人目。これまでの3人は吉田沙保里、伊調馨、小原日登美といずれも金メダリストだ。来年のリオ五輪に向けて登坂も大きな期待を背負う。「勝てば勝つほど試合の怖さがある。それでも絶対に負けない沙保里さん、馨さんのようになりたい」。ケガも、重圧も、女王は全てを受け止めた上で勝つ。次代のエース候補は偉大な先輩たちの領域に足を踏み入れ始めた。

 ◆登坂 絵莉(とうさか・えり)1993年(平5)8月30日、富山県高岡市生まれ。国体優勝経験のある父・修さんの影響で9歳で高岡ジュニア教室に入る。南星中時代に全国中学選手権優勝。至学館高では2、3年時にインターハイ制覇。全日本選手権3連覇、全日本選抜選手権は4連覇。世界選手権初出場の12年は2位だった。1メートル52。

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