渡部香生子、マーメイド…世界水泳 メダルへと導いたコーチの金言

[ 2015年8月6日 09:40 ]

女子200メートル個人メドレーで日本新記録をマーク、銀メダルを獲得し、笑顔で手を振る渡部香生子(AP)

 栄光の裏側に名指導者がいる。ロシア・カザニで行われている水泳の世界選手権で、シンクロナイズドスイミングの日本代表が4個のメダルを獲り、最高のバトンを競泳陣につないだ。そして、競泳開幕2日目。メダル第1号を手に入れたのは早大1年の18歳、渡部香生子(JSS立石)だった。

 インタビューでは最高の笑顔を弾けさせ、最後の競り合いでは「足がちぎれてもいい」。竹村吉昭コーチ(59)から送り出された言葉を胸に死力を尽くしてメダルを獲得した。そして、恩師の存在を聞かれると、「考えまで変えてくれて、感謝もしているし、これからも一緒に頑張っていきたいと思います」と言った。

 日本を代表する選手へと成長した渡部は、常日頃から愛想を振りまくタイプではない。練習でうまく動かない時や、気持ちが乗らない時は、態度に出てしまうことがある。「練習自体あまり好きじゃない。何分も泳ぎ続ける粘っこい練習は苦手」。そんな18歳を前に向かせる恩師の言葉がある。「つらい時こそ笑顔でやりなさい」。渡部の性格を見極め、見つかった最高のメッセージだ。

 そして、8年ぶりにシンクロ日本にメダルをもたらした井村雅代ヘッドコーチ(64)も一生心に残るメッセージを選手たちに伝えた。

 「社会人になったら、自分がちゃんとしていても認められないへんことがいっぱいある。でも、その時にやけになったら終わり。そうじゃなくて、それでも黙々と正しいことをやり続けて認められる。これは、選手だけじゃなくて、社会人になって役に立つんよ。だから、この悔しさをずっと覚えときなさい」。

 今回の世界選手権で初めてウクライナに敗れた夜、この言葉を聞かされたマーメイドたちは一夜明け、大会フィナーレをメダルで締めくくった。(宗野 周介)

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2015年8月6日のニュース