鶴竜 8連勝でストレート給金!得意の巻き替え連発

[ 2015年7月20日 05:30 ]

勢(左)を上手投げで破る鶴竜

大相撲名古屋場所8日目

(7月19日 愛知県体育館)
 左肩負傷で2場所連続全休明けの鶴竜は勢を右上手投げで仕留め、初日から8連勝でストレート給金を決めた。今場所は得意の巻き替えを連発するなど相撲のうまさを存分に発揮。家族のためにも横綱昇進後初の優勝を成し遂げるつもりだ。白鵬も魁聖を寄り切って全勝。中日を終えて無敗の両横綱を1敗で照ノ富士、栃煌山、平幕の鏡桜が追う展開となった。
【8日目取組結果】

 休場明けで無敗街道を走る鶴竜を救ったのは若かりし頃から磨き上げてきた熟練の技術だった。勢にもろ差しで攻め立てられたが、土俵際で本領発揮。後ろに下がりながら左で絶妙な巻き替えを繰り出しつつ、体の軸を反時計回りに回転させて右から上手投げを華麗に決めた。8日目にして初めてひやりとする場面に遭遇したため、勝利の瞬間はポーカーフェースが思わず崩壊。チャームポイントのおちょぼ口を突きだし「ふぅ」と安どの息を吹いた。

 「しっかり体が反応してきれいに決まったから」。相手のすくい投げをこらえた場面では右足の指が返りかけたが「慌てなかった」と冷静。支度部屋では前日まで「一番ずつクリアするだけ」と合言葉のように連呼したが、4場所ぶりのストレート給金を果たしたこの日ばかりは「良かったです」と素直に喜んだ。

 今場所の弟子を師匠・井筒親方(元関脇・逆鉾)は「巻き替えがさえている。若いときに教えたことが身を助けている」と説明する。左肩腱板損傷の治療が長引いて半年ぶりの本場所だが、8番中この日を含め5番も「巻き替え」を繰り出している。横綱も「入門した頃は小さかったから巻き替えをして相手の懐に入るしかなかった。それが出ている」と師匠仕込みの技術が大いに発揮できることを明かした。

 休場中はほぼ外出もせずにリハビリに励んだ。「一人だったらきつかった。家族がいたから本当に良かった」。ムンフザヤ夫人と5月末に誕生した長女アニルランちゃんが心の支え。2人は現在モンゴルに帰国中で毎日のように写真が送られてくる。「喜びながら楽しみながら」。自分だけのためではない。苦しみを乗り越えた今だからこそ、誰よりも賜杯を家族に届けたいと思っている。

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2015年7月20日のニュース