錦織 決勝逃すも全豪手応え、アギーレJと“共闘”オファーも

[ 2015年1月11日 05:30 ]

男子シングル準決勝、ボールに食らいつく錦織

テニス・ブリスベン国際

(1月10日 オーストラリア・ブリスベン)
 男子シングルスで世界ランキング5位の錦織圭(25=日清食品)は惜しくも決勝進出を逃した。同8位のミロシュ・ラオニッチ(24=カナダ)に全てのセットでタイブレークまでもつれ込む大接戦で7―6、6―7、6―7の僅差で敗れた。それでも新シーズンの初戦でオフのサーブ強化の成果を確認し、緊張感あふれる激闘も経験できた。4大大会初優勝の期待がかかる全豪オープン(19日開幕、メルボルン)に向けては収穫あふれる開幕戦となった。錦織は11日にダブルスの決勝戦に出場する。

 接戦をものにできなかったことは悔しい。昨季勝率9割に近かったフルセットの戦いでの敗戦。しかし、開幕戦で確認すべきことは全て済ませられたはずだ。錦織は「敗戦で学べることもある。一年のスタートとしてはいい大会だった」と前向きな部分を見つめた。

 昨季4度も顔を合わせ今季も開幕戦から実現した同世代ライバルとの準決勝。第1セットは錦織に分があった。2度のブレークポイントを逃したものの、最後はタイブレークで競り勝った。第2セットに入ると最速231キロのラオニッチの高速サーブが火を噴く。このセットはタイブレークで奪い返された。

 一進一退の攻防は、互いにサービスゲームを一つも落とさないまま3セット連続のタイブレークに。勝敗を分けたのは、チャンスの場面でアウトにした錦織のフォアのミス、わずかなディテールの差だった。持ち味を出し合い、合計ポイントは118―120という大接戦。開幕戦とは思えないほどハイレベルな“肉弾戦”だった。

 「相手のミスを待ってしまった。もっとリスクを負って打っていければチャンスはあった」と反省した錦織だが、収穫もあった。オフに強化したサーブは「より自信を持っていける」と成長を実感。サーブからの組み立てで楽に取れるポイントが増えた。ラオニッチ戦で2時間33分の長時間の試合も経験。5セットマッチの4大大会に向けていい試運転になった。

 10日の試合はNHKがBS1で緊急中継。前日の準々決勝はCS放送「GAORA」が急きょ放送した。好調なプレーは日本での注目度を再び高めつつある。そして全豪オープンではさらに注目のコラボレーションも実現するかもしれない。

 オーストラリアを訪問していた日本サッカー協会の大仁邦弥会長(70)は「日本代表も頑張るので錦織さんも頑張ってほしい。ぜひ日本代表を見に来てほしい」と“共闘”を訴えた。アジア杯に参加する日本代表は、1次リーグ第3戦ヨルダン戦(20日)を行うメルボルンに17~21日に滞在予定。全豪オープンも同地で開催されるため、空き時間があれば錦織を練習や試合に招待するプランを披露した。

 サッカー好きの錦織は昨夏に米国で開催されたマンチェスターUとインテル・ミラノの試合を観戦。香川や長友とは顔見知りだ。昨年10月の楽天ジャパン・オープンではアギーレ監督も錦織の試合を観戦するなど日本代表とは縁がある。

 アジア杯は31日に決勝が行われ、全豪オープンはその翌日が最終日。オーストラリアから2日続けて日本に優勝の吉報が舞い込む可能性もある。次は全豪前哨戦のエキシビション大会「クーヨン・クラシック」(13~16日、メルボルン)に出場して全豪オープンへ。錦織の本当に負けられない戦いはここから始まる。

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