錦織 悔しい棄権準Vも…ナダルから第1S先取「自信に」

[ 2014年5月13日 05:30 ]

男子シングルス決勝の途中に棄権し、対戦相手のラファエル・ナダル(右)に気遣われる錦織圭

マドリード・オープン

(5月11日 スペイン・マドリード)
 男子シングルス決勝で世界ランキング12位の錦織圭(24=日清食品)が、勝利目前で無念のリタイアを強いられた。同1位のラファエル・ナダル(27=スペイン)と対戦し、6―2、4―6で迎えた最終セットを0―3とされたところで腰などの痛みのために棄権。男女を通じて日本選手初となる出場2大会連続優勝を逃した。今後は出場予定だったイタリア国際を欠場し、4大大会第2戦の全仏オープン(25日開幕)に備える。ナダルは2年連続4度目の優勝で今季3勝目、通算63勝目を挙げた。

 日本人がクレーコートでナダルを打ち負かす。夢のような光景が現実のものになりかけていた。しかし、最後の最後で錦織の体が悲鳴を上げた。

 「臀部(でんぶ)から脚に、急にぐっと強い痛みが走った。もう後戻りできない痛みだった。人生最高ともいえるテニスをしていたので棄権の判断はつらかった」

 ツアー6勝目まであと2ゲーム、4―2で迎えた第7ゲームで突然スローダウン。2日前の準々決勝から感じていた痛みは前日のフェレールとの準決勝で悪化。「きょうは朝起きるのもつらかった」。試合中に悪化させると、マッサージも薬も効かなかった。最終セットは脚を引きずり、苦痛に顔をゆがめるばかり。何もできずに0―3となった後、自らナダルに歩み寄った。

 コート上でナダルの優勝インタビューが行われている間は、ベンチでタオルに顔をうずめた。その後の表彰式では「何よりもまず最後まで戦うことができずに皆さんに申し訳ない」と悲しげな表情で観客にわびた。7度目の挑戦も勝利にあと一歩届かなかった。

 しかし、王者を圧倒したテニスは本物だ。ナダル特有の高く跳ねるボールも早いタイミングで迎撃し、直線的なボールで押し込んだ。赤土の全仏オープンで8度の優勝を誇るナダルに自分のテニスをさせなかった。「クレーで一番強い選手にあそこまで攻めきれたことは、今後の自信になる」

 4月末のバルセロナ・オープン優勝に続く今大会の快進撃で12日発表の世界ランキングでは日本男子初のトップ10入りとなる9位に浮上。予定していたイタリア国際は欠場し、拠点の米フロリダ州に戻って体調を整える。全仏の舞台となるローランギャロスで、この戦いの続きが待っている。

 ◆錦織が出場 日本テニス協会が男子のツアー大会、楽天ジャパン・オープン(9月29日開幕、東京・有明テニスの森公園)に12年大会優勝の錦織圭(日清食品)や世界ランク3位のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)が出場すると発表。錦織は「この大会には素晴らしい思い出がたくさんある。また優勝できるように頑張ります」とコメントを寄せた。

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