荒川区出身16歳・渡部香生子が大会新でV

[ 2013年9月14日 06:00 ]

表彰式で両手を挙げて喜ぶ渡部香生子

東京国体第3日

(9月13日 辰巳国際水泳場)
 競泳が開幕し、少年女子A(高2、3)の200メートル平泳ぎで、12年ロンドン五輪代表の渡部香生子(かなこ、16=東京・武蔵野高)が2分23秒42の大会新で優勝した。五輪後は伸び悩んでいたが、自己ベストを約1年半ぶりに更新。東京都荒川区出身の美少女スイマーが20年の地元五輪での活躍を誓った。成年男子400メートル自由形は世界選手権(バルセロナ)の銀メダリスト萩野公介(19=栃木)が3分46秒93で制し、ライバルの瀬戸大也(19=埼玉)は5位に終わった。

 とびっきりの「かなこスマイル」だ。渡部は前半から積極的に入り100メートルを1分9秒91でターン。後半も大きく伸びやかな泳ぎで後続を引き離すと、2位に4秒34差をつけてゴール板を叩いた。「自己ベストを目指していたので良かった。万全に近いレースができた」。大会新で復活をアピールした16歳の笑顔がはじけた。

 試練の一年だった。昨年は「岩崎恭子2世」と騒がれ、競泳最年少15歳でロンドン五輪に出場し、女子200メートル平泳ぎで準決勝まで進出した。だが、その後スランプに陥り、日本選手権で振るわず、200メートルの世界選手権代表から漏れた。

 環境を変えるために、5月には00年シドニー五輪女子100メートル背泳ぎ銀メダルの中村真衣を育てた竹村吉昭コーチ(58)に師事。浅かったキックの引きつけを深くし、プル(手のかき)も大きくするなど泳法を改良した。この日、その成果を出すと同時に精神面でも大人になった。「五輪後は不安で気持ちが重い部分があった。今は楽しんでレースできる気持ちをつくれる」と打ち明ける余裕も出ている。

 女子平泳ぎは世界で高速化が進む。100メートル平泳ぎと200メートル個人メドレーで出場した世界選手権では、16歳のメイルティテ(リトアニア)らが50、100、200メートルの全3種目で世界新を更新。「同じ世代。タイムで置いていかれてるなという感じある」と危機感を募らせる。子供の頃から慣れ親しんだ東京には20年に夏季五輪がやってくるが、「最初は人ごとみたいで実感がなかった。7年後は日本を引っ張っていける選手になりたい」と目を輝かせた。

 ◆渡部 香生子(わたなべ・かなこ)1996年(平8)11月15日、東京都荒川区出身の16歳。武蔵野中―武蔵野高在学中。体が弱かったため4歳で水泳を始める。小5から選手コースで中1までは主に個人メドレー、自由形、背泳ぎ。平泳ぎは中2から始める。12年ロンドン五輪200メートル平泳ぎ日本代表、13年世界選手権100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレー日本代表。1メートル66、58キロ。血液型A。

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