大砂嵐 ラマダン開始 双大竜寄り切り「いつも以上のパワー出た」

[ 2013年7月11日 06:00 ]

双大竜を寄り切りで破る大砂嵐

大相撲名古屋場所4日目

(7月10日 愛知県体育館)
 角界初の挑戦が始まった。アフリカ大陸から初の関取となったエジプト出身の十両・大砂嵐がイスラム教徒の義務「ラマダン(断食月)」に突入して初の取組に挑み、双大竜を寄り切りで撃破した。昨年は1番のみ、今年は12番が断食と重なっており、師匠の大嶽親方(元十両・大竜)らも全面支援を約束。パイオニア力士も気力で乗り切る覚悟を示した。

 日本には古くから「腹が減っては戦はできぬ」ということわざがある。食べることも稽古の一つ。体が資本の力士にとって空腹は大きなハンデだが、エジプトからやってきた大砂嵐は腹が減っても戦はできた。相撲へのひたむきな情熱。そして異例の挑戦を観客が後押しした。ラマダン初日。立ち合いから突き放したが、低く構える双大竜に押し込まれた。それでも左四つがっぷりに組んで受け止めるとがむしゃらに出て寄り切った。館内からは「おなかがすいても頑張れ」と温かいエール。いつも汗だくの体は少し乾いていたが、引き揚げるときの笑顔は変わらなかった。

 「最初は左が入ってちょっと危なかったが、あとはまわしが取れて大丈夫。きのう(3日目)負けたから、きょう頑張るだけ」

 イスラム教の名古屋モスクの関係者によると10日のラマダンは午前3時2分開始。大砂嵐は午前2時に起床して、おにぎり1個とヨーグルトを食べた。朝稽古では、4度ひしゃくで口をすすぎ、乾きを防いだ。出番前は就寝などで体力を温存、全てを土俵にぶつけ「ラマダンは問題ない。ラマダンパワーと俺のパワーでいつも以上のパワーが出た」とどや顔だ。

 7月の名古屋場所は自身2度目。序二段だった昨年は千秋楽だけラマダンと重なったが、今年は12日間と条件は過酷だ。期間中は日没になれば、翌日の日の出まで思う存分食事を採ることは可能で、大嶽親方も深夜食としてチャーハンやハヤシライスなど作り置きの食事を考案中。そんな周囲のサポートを受けながら快進撃を続ける「アフリカの星」には白星こそが励みになる。帰り支度を整えると「今はおなかがすいた。早く帰ってごはん食べたい。勝ったからおいしいよ」と、屈託のない笑顔を見せた。

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