錦織 日本男子最多ツアー3勝、世界トップ10入り見えてきた

[ 2013年2月26日 06:00 ]

優勝を決めた瞬間、ラケットを投げ天を仰ぐ錦織

テニス全米室内選手権

(2月24日 米テネシー州メンフィス)
 第5シードの錦織圭(23=日清食品)が決勝で、ノーシードで世界47位のフェリシアノ・ロペス(31=スペイン)を6―2、6―3で下し、昨年10月の楽天ジャパン・オープン以来の優勝で、日本男子最多のツアー3勝目を挙げた。1回戦から1セットも落とさない“完全優勝”。左膝負傷から約1カ月ぶりに大会で復活を印象付けた。世界ランクも22位から16位に浮上した。

 F・ロペスのリターンがアウトになり優勝が決まると、錦織はラケットを放り投げ両手を突き上げて歓喜に浸った。日本男子初のツアー2勝目を手にした楽天ジャパン・オープンからわずか4カ月半で3勝目。それでも「世界ランクも上がって、これが当たり前じゃなきゃいけない。いい意味で(優勝に)慣れてきた」と冷静だった。

 序盤から強気に攻めた。時速220キロ近いサーブとボレーが武器のF・ロペスに対し、鋭いリターンで応戦。第1セット第1ゲームで相手のサービスをいきなりブレークして波に乗った。16強入りした1月の全豪オープンでは4試合中3試合で第1セットがタイブレークにもつれ込んだ。スロースターターぶりが目立ったが、「先にブレークして(優位に)試合を運べたことが勝因」と最高の滑り出しを見せた。

 最大のピンチは第2セット第2ゲーム。0―40と追い込まれたが、深いストロークで粘ってサービスキープ。相手に8本のサービスエースを許したものの、精度を増したセカンドサーブでポイントを稼いで、ツアー2勝の実力者を1時間7分で退けた。終盤には股抜きショットで観客を喜ばせる余裕も見せ、心技体の充実をうかがわせた。

 今季開幕戦ブリスベーン国際で左膝を痛めた。全豪オープン後はリハビリに専念した。「正直ここに来るか、迷った時期もあった」と言うだけに、達成感は大きい。復帰戦にもかかわらず今大会は全試合でストレート勝ち。ダンテ・ボティーニ・コーチも「きょうの圭は、ほぼ完璧だった。大会を通して1セットも落とさず、本当に素晴らしい」と絶賛した。

 世界ランクは自己最高(15位)に迫る16位に浮上。今季の目標「トップ10入り」が現実味を帯びてきた。世界ランクは過去52週に出場した大会のポイントで決まる。次戦は25日開幕のデルレービーチ国際。08年にツアー初優勝した大会で同じハードコートで行われる。またクレーコートの大会が続く4~6月は昨年、左脇腹を痛めて欠場が続いた時期。勝ち上がれば多くのポイントが加算され、ランキングも上昇する。「トップ10の選手に勝っていくことが目標。そうすれば自然とランクも上がる」。23歳は世界の頂を見据えていた。

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