青学大躍進の立役者 出岐雄大は「リオ五輪の星」

[ 2012年12月28日 11:31 ]

部員を引き連れて練習をこなす青学大・出岐主将(右端)

 第89回東京箱根間往復大学駅伝競走は来年1月2、3日に行われる。過去4年間は5区の山上りで圧倒的な力を発揮し、東洋大を3度総合優勝に導いた柏原竜二(現富士通)が君臨した。“山の神”が卒業し、今大会では新たなスターが誕生するのか。有力校の注目選手を紹介する。第1回は青学大の出岐雄大(4年)です。

 今季の学生駅伝は衝撃的な幕開けだった。東洋大と駒大の2強時代とみられていたが、10月の出雲駅伝では青学大が3大駅伝を初制覇。09年に33年ぶりに箱根に出場してから4年、急激に力をつけたチームを引っ張るのは主将の出岐だ。

 前回は各校のエースがそろう「花の2区」で同大初の区間賞を獲得した。1メートル60と小柄ながら、軽快なピッチで9人抜きを演じ、青学史上最高となる5位躍進の立役者となった。その直後、ある決断を下した。3月のロンドン五輪の代表選考会、びわ湖毎日マラソンの出場だ。近年では在学中のマラソン挑戦は珍しいが「2年生の頃からマラソン挑戦を考えていた。五輪のある今年がいいと思った」。練習は30キロ走まで、マラソン用の特別な準備もしなかったというのに、30キロすぎまで日本人トップ争いに加わった。最後は9位に終わったものの、学生歴代3位の2時間10分2秒の好タイムだった。

 「五輪には行きたかった。でも、4年後の選考会は初めてではなくなる。挑戦してよかった」

 距離が長くなるほど強さを発揮するタイプ。高校時代はほぼ無名の選手だったが、マラソンのリオデジャネイロ五輪期待の星に成長した。4月末に左足首を疲労骨折し、春は満足いく走りができなかったものの「夏合宿から調子が戻ってきた」と完全復調が近いことを明言。出雲でもアンカーでゴールテープを切った。

 最後の箱根も2区が濃厚だ。「この1年間で成長したところを見せたい」。有望な1年生もそろい、出岐主将を中心に戦力が充実する青学大は、台風の目となりそうだ。

 ◆出岐 雄大(でき・たけひろ)1990年(平2)4月12日、長崎県生まれの22歳。長崎北陽台高―青学大4年。箱根は1年1区9位、2年2区4位、3年2区1位。1万メートル自己ベスト29分2秒10。1メートル60、53キロ。来年4月に中国電力に入社予定。

続きを表示

2012年12月28日のニュース