真央 涙のGPファイナル3度目V 母の一周忌に捧げた

[ 2012年12月9日 06:00 ]

「Sochi Russia」と刻印された金メダルを手に笑顔の浅田

フィギュアスケート GPファイナル最終日

(12月8日 ロシア・ソチ)
 最愛の母に金メダルを届けた。女子フリーが行われ、SP首位の浅田真央(22=中京大)が今季世界最高の129・84点をマーク。合計も今季世界最高となる196・80点とし、4年ぶり3度目のファイナル制覇を果たした。母・匡子さん(享年48)が死去してから、9日でちょうど一年。悲しみを乗り越え、頂点に返り咲いた。

 明るい天真爛漫(らんまん)なスマイルとは違う。4分間の演技を締めると、浅田に柔らかい大人の笑みが浮かんだ。母・匡子さんが亡くなってから、9日でちょうど一年。特別な一日を前に黄金の輝きを放った。今季世界最高得点で4年ぶり3度目のファイナル制覇だ。GPシリーズの上位6人だけが出場できるハイレベルな一戦。14年ソチ五輪と同じ会場で、浅田が頂点に返り咲いた。

 「入っているエレメンツをミスなく確実に滑ろうと思った。大きなミスがなくてよかった。やっぱり、うれしかったです」

 昨年のファイナルは、深い悲しみとともに記憶に刻まれている。匡子さんの容体が悪化し、大会を欠場して緊急帰国。カナダから成田空港に着いた時、父・敏治さん(54)からメールで死去を知らされ号泣した。

 元コーチのタチアナ・タラソワ氏(65)が「マオのことを誰よりも理解していた」という匡子さんの存在は、浅田にとって絶大だった。喪失感を埋めるようにリンクに立った昨年末の全日本選手権は制したものの、世界選手権は6位に沈んだ。

 最愛の人を失って一年。匡子さんの闘病中、浅田は周囲に母の話をしなかったが、今は違う。佐藤コーチの妻・久美子コーチは「最近はお母さんの話をするようになったのよ。“あの時、ママはこんなこと言ってた”とかね」と明かした。

 この日の会見後、母の話題が出ると、涙を抑えることができなくなった。悲しみが癒えたわけではないが、現実を受け止めて着実に前に進もうとしている。「バンクーバー五輪に出て、もう一度出たいと思った。頑張って、またここに戻って来られるようにしたい」。天国の母に届けた金メダルが、1年2カ月後の夢舞台へつながっていく。

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