日本女子“奇策”で圧勝 88年ソウル以来の白星スタート

[ 2012年7月29日 06:00 ]

第1セット、スパイクを決める木村

ロンドン五輪バレーボール

 1次リーグが始まり、A組で世界ランク3位の日本は初戦で同16位のアルジェリアを3―0で破り、88年ソウル大会以来となる白星発進となった。選手の背番号を変える奇襲作戦が当たり、エース木村沙織(25)のコースを巧みに突いたスパイクなどで得点を重ねた。30日(日本時間31日)の第2戦ではイタリアと対戦する。1次リーグは12チームをA、Bの2組に分け、各組上位4チームが準々決勝に進む。

 日本が見事な滑り出しを見せた。わずか36点しか失わずに57分で3セットを連取。先発に抜てきされたアタッカーの迫田が「後悔だけはしないように」と第1セットから切れのあるスパイクで勢いをつけた。両チーム最多の15点を記録したエースの木村は「全員が伸び伸びとやっていた。チームとしていい展開」と笑顔で振り返った。中盤で競り合った第2セットは、木村が相手ブロックの位置を冷静に見極めたアタックで引き離した。

 指揮官の入念な準備と奇策が当たった。日本ではほとんどない午前9時30分開始の試合だったが、英国に入る前のスイス合宿から時間調整し、本番に備えた。さらに真鍋監督は試合直前に両セッターの竹下と中道以外、10人の背番号を変更。分析が進んだバレーボールでは、背番号で相手選手を識別することが多い。日本も昨年11月のW杯で中国に突然背番号を変えられ戸惑った経験があった。

 「非常に満足している。この1勝で勢いに乗っていきたい。サーブが特に良かった。選手には団結力、結束力で五輪を乗り越えようと言った」と真鍋監督。この日は選手12人全員をコートに立たせ、雰囲気に慣れさせることもできた。竹下は「次につながると思う。いろいろな選手に、ポイントを取らせるように意識した」と収穫を口にした。

 ただ、思わぬところで不安が残った。真鍋監督が対戦相手の情報分析に利用している多機能端末のiPadを試合中に利用できなかったのだ。「会場に(無線LANの)ワイファイ(Wi―Fi)が設置されておらず使えない。各国から苦情が出ているが、現状ではどうなるか分からない」と苦笑いした。

 それでも、アトランタ、アテネ、北京と最近出場した五輪3大会で全て初戦を落とし、波に乗りきれなかった日本が最高のスタートを切った。次戦のイタリアにこの勢いをぶつける。

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2012年7月29日のニュース