また稀勢に…白鵬“らしくない”黒星でV20暗雲

[ 2011年9月23日 06:00 ]

稀勢の里(右)に小手投げで敗れた白鵬

大相撲秋場所12日目

(9月22日 両国国技館)
 全勝の横綱・白鵬が関脇・稀勢の里に小手投げで敗れて初黒星を喫した。ただ一人1敗だった平幕の臥牙丸が2敗に後退したため、白鵬の単独トップは変わらないが、取組直後に稀勢の里にきめられた右肘の痛みを気にするなど20度目の優勝に向けて暗雲が垂れ込めてきた。
【取組結果】

 白鵬が土俵下まで豪快に転がされると、今場所初めて国技館に座布団が舞った。苦手の稀勢の里に立ち合いから右肘を完全にロックされ、痛みに耐えきれず、最後は受け身を取るようにぐるりと1回転。土俵下に落ちると、真っ先に左手で右肘を触って痛みを気にした。心や体の変化を悟られることを嫌う一人横綱が、珍しく“らしくない”姿を周囲にさらした。

 これで稀勢の里にはここ1年で2勝3敗と負け越し。取組後の支度部屋で報道陣に囲まれると、しばらく目をつぶったまま。「優勝争いの単独トップは変わらないが残り3日間どんな気持ちで臨むか?」という質問に「ただやるだけ」とだけ返答した。最近は負けても淡々と話していた取組後だが、今回ばかりは言葉少な。師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は「立ち合いが甘い」と反省点を述べた。

 鶴竜を土俵際の逆転劇で下し、初日から11連勝した昨夜は後援者らと外食した。周囲がお酒を飲んでリラックスする中で自分だけは禁酒を貫くなど、決して気を抜いていたわけではなかった。この日の朝には稀勢の里戦に向けて「落ち着くのも、気合が入るのも悪い。その中間で自分の相撲を取る」と語っていたが、心に動揺があったことは確か。館内で観戦した横綱審議委員会の沢村田之助委員(歌舞伎俳優)は「苦手意識があるから」と敗戦理由を分析した。

 13日目には先場所敗れた2敗の琴奨菊戦を迎える。区切りの20度目の優勝に向けて千秋楽にはモンゴルから両親も駆けつける予定だが、この日の敗戦で優勝争いは混とんとしてきた。帰り際には痛がっていた右肘について「大丈夫」と強がった。それが、波乱のムードを漂わせていた。

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