“福島パン”売り上げ1個で1円支援 「すごくありがたいです」

[ 2011年9月7日 10:50 ]

壇上で話す福島

 福島がパンになる。陸上女子短距離のエース福島千里(23=北海道ハイテクAC)を支援する「福島パン」が12月から北海道限定で販売されることが6日、分かった。練習拠点のある恵庭市が、特産のえびすかぼちゃを原料にしたパンを開発。売り上げ1個に付き1円を、福島の所属先に支援金として贈る。福島は同日、世界陸上(韓国・大邱(テグ))の報告会に出席した。

 地域一体となって来年のロンドン五輪を目指す。「福島パン」誕生のきっかけは今年1月。恵庭市と同市に工場がある山崎製パンが、同市の特産物を原料にしたパンを作れないかと、話し合いを持ったことから始まった。

 原料として決まったのが、65年に試験栽培され、誕生したえびすかぼちゃ。すでにアイスクリームなどの商品にもなっており、試行錯誤の末、8種類のパンが製造された。そして同市を拠点に世界と戦っている福島とコラボレーション企画を検討。関係者は「ロンドンに向けて、安心して練習できるように、遠征費などに役立ててもらいたい」と、1個売れるごとに1円の支援を決めた。12月から来年6月までの半年間で約200万個、約200万円の支援を見込んでいる。パッケージに使う福島の肖像権は日本陸連が管理しているため、使用許可を申請中だ。

 五輪で日本人初の決勝を目指す福島にとっても追い風だ。「もっと上のレベルに行くためには、いろいろな方々の支えが必要。すごくありがたいです」。世界陸上では、100、200メートルで日本人女子史上初の準決勝に進出しながら、決勝には進めず世界との壁を痛感した。そこを乗り越えるために、今後、海外遠征でのレベルアップを臨んでいる。そのためには、多額な費用が必要なだけに、願ってもない話だった。

 この日、福島は恵庭市で行われた世界陸上報告会に出席。後援会や関係者約150人が集まる中、「(世界陸上では)1本でも多く走るという目標を達成できてうれしかった。ロンドン五輪は難しい舞台だと思うので、みんなと一緒に頑張ってきたい」。糖度が売りのえびすかぼちゃのように甘い舞台ではないが、「福島パン」に込められた思いを背に、短距離界の女王が夢舞台へと駆け出していく。

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2011年9月7日のニュース