慰問で発奮!魁皇、被災地へ“通算最多勝”ささぐ

[ 2011年6月7日 06:00 ]

化粧まわしをつけた被災者の子どもを抱く魁皇

 日本相撲協会による東日本大震災巡回慰問は6日に3日目を迎え、幕内上位力士20人らは避難所となっている宮城県気仙沼市・面瀬(おもせ)中と同県南三陸町・志津川中を訪れた。大関・魁皇(38=友綱部屋)は満身創痍(そうい)の状態ながら、積極的にファンサービス。千代の富士の通算最多1045勝まで残り1勝で臨む名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)では被災者の思いを乗せて土俵に上がることを誓った。

 気仙沼市の面瀬中でファンサービスを終えた魁皇が被災地に来てから初めて胸中を語った。「現役の相撲取りとして来られたことは良かった。苦しい中で少しでも笑ってくれて声を掛けてくれてうれしい。忘れちゃいけない」。3日間で6カ所を訪問したが、どこに行っても魁皇の元には長蛇の列ができる。1人1人のサインや記念撮影に丁寧に応じ、笑顔を絶やさない大関の姿は被災地に勇気を与えている。

 満身創痍の体で被災地に乗り込んできた。持病の腰痛に加え、最近は長年の疲れから左膝がしびれた状態で、満足に四股を踏むこともできず、歩くのがやっと。この日は7時間のバス移動があり、慰問中の5時間はほとんど立ちっぱなし。それでも「痛いとかかゆいとか言ってられない。あの場所に行けば不思議なぐらい元気になる」と平然と話した。

 残り1勝としている通算最多勝が懸かる7月の名古屋場所は半年ぶりの正常開催となり、NHKのテレビ中継も再開。「名古屋はテレビで見られるのか?」と何度も声を掛けられただけに「東京に戻ったら場所に気持ちを切り替える。相撲を楽しみにしている人がいる。ちゃんと頑張らないといけない」と被災者に大記録をささげることを誓った。今後は8日までに宮城県女川町や福島県新地町など残り4カ所を訪問。38歳まで現役を続けてきた意味を実感した大関の気持ちが日に日に若返っている。

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2011年6月7日のニュース