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著名人成り済まし広告でメタを提訴 「SNS型投資詐欺」被害278億円

[ 2024年4月26日 04:40 ]

メタ社の投資広告に抗議する前澤氏の投稿(本人公式Xから)
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 フェイスブックなどのSNSで実業家の前澤友作氏ら著名人に成り済ました人物の投資広告で金銭をだまし取られたのは、広告の内容が真実かどうかの調査を怠ったからだとして、神戸市や東京都などの男女4人が25日、SNSを運営する米IT大手メタ(旧フェイスブック)の日本法人に計約2300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。原告側弁護団によると、SNSの詐欺広告被害を巡り、運営企業側に賠償を求める訴訟は初とみられる。他にも同様の被害相談があるといい、今後追加提訴も検討する。

 提訴後に神戸市内で記者会見した国府泰道弁護団長は「メタ側が詐欺広告のチェックができていない甘さがあり、もっと早く対策していれば被害は生じなかった」と指摘。メタ社側の広報担当者は「個別事案については回答を差し控える」とコメントした。

 経済評論家の森永卓郎氏や前澤氏らの写真や動画を使って投資を勧める偽の広告などによる「SNS型投資詐欺」は全国で相次ぎ、大金をだまし取られる被害が続出。警察庁によると、昨年1年間の被害額は約277億9000万円に上る。

 訴状などによると、4人は前澤氏や、インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者の西村博之氏らをかたる偽の投資広告を閲覧。LINE上でアシスタントを名乗る人物らから投資グループに誘導、外国為替証拠金取引(FX)投資に勧誘され、指定された口座に現金を振り込んだ。

 前澤氏と、同じく偽広告に使われている堀江貴文氏は今月10日、自民党の会合に出席し、法的規制などを訴えた。偽広告には、前澤氏本人が名前を「ゼンザクユウサ」と名乗るなど不自然な日本語が多数見受けられる。堀江貴文の「貴」が中国語の字体になっているケースもあった。

 自民党の平井卓也デジタル社会推進本部長は25日の会合で、詐欺広告について「法規制も視野に入ってくる」と述べた。メタ社を念頭に、国会への参考人招致にも意欲を示した。既に、党としてメタ社に対策を講じるよう申し入れをし、回答を求めたとも明らかにした。

 ≪前澤氏対応に怒り「日本なめんなよ」≫投資広告詐欺に名前を使用されている著名人には、実業家や評論家などが多い。前澤氏や堀江氏のほか、三木谷浩史楽天グループ社長らの名前が語られている。評論家ではジャーナリストの田原聡一朗氏、池上彰氏、元経済産業省官僚の岸博幸氏らの名前も。前澤氏は自身のSNSでメタ社への抗議を表明し、同社の対応の遅さに「日本なめんなよマジで」と激怒している。

 ≪純利益は約1兆9200億円≫米IT大手メタが24日発表した2024年1~3月期決算は、純利益が前年同期の約2.2倍の123億6900万ドル(約1兆9200億円)だった。主力のインターネット広告が堅調で、売上高は27%増の364億5500万ドルだった。堀江氏は25日、このニュースを受け自身のSNSに「詐欺広告で大もうけ。とんでもない会社だな」と怒りをつづった。

 ▽メタ(旧フェイスブック) 現最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏らが2004年に設立。米巨大IT企業の一角を占め、「フェイスブック」や写真共有アプリ「インスタグラム」などを展開する。21年10月に社名を「メタ」に変更し、仮想空間「メタバース」での事業に注力する姿勢を鮮明にした。

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