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広がる小林製薬「紅こうじ」ショック イオンなど各社続々自主回収 見えない恐怖で不安連鎖

[ 2024年3月28日 04:40 ]

 小林製薬(大阪市)が製造した「紅こうじ」のサプリメントを摂取した人の健康被害が相次いでいる問題で、厚生労働省は26日深夜、2人目の死亡例が報告されたと明らかにした。サプリ摂取後に入院したのは106人にまで拡大。同社への相談メールは約3600通にも上る。

 2人目の死亡例は1人目同様、腎疾患とみられる。紅こうじ成分を配合した機能性表示食品のサプリ「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」を摂取していたとされ、同社は使用状況の確認を急ぐ。

 大阪市は27日、食品衛生法に基づき、自主回収対象3商品の回収を命令。さらに、廃棄命令も出す方針。「紅麹…」はこれまで約100万個を販売。回収には数カ月を見込む。

 同社供給の紅こうじを原料に使った商品回収の動きはさらに拡大。大手スーパー「イオン」では、プライベートブランド(PB)「トップバリュ ベストプライス」の「回鍋肉の素」「麦麹使用でふんわり肉まん」など7品目が対象。健康食品メーカー「森川健康堂」(熊本県甲佐町)の子供向けサプリ「KIDSプロポリス」も店頭から撤去。回収の発表は30社以上に及ぶ。

 消費者の不安は高まるばかり。流通した商品の全容が不明なためだ。小林製薬は紅こうじ供給先について、問題を公表した22日は詳細な説明を避け、24日に52社と説明。しかし、いまだに社名は非公表。「各取引先との契約の問題」としている。

 52社は飲料や食品などのメーカーばかりではなく、卸売業者も含まれているため、実際には紅こうじを使っていた企業数はさらに多いとみられる。同社は直接取引関係にない企業の商品については卸売業者を通じて回収を要請したとしているが“見えない紅こうじ”への不安は拭えない。

 22日の会見開始後に自主回収の要請を受けたメーカーもあるなど、情報公開の在り方とともに連絡の遅さも指摘される同社。そもそも、1月15日に健康被害発生を把握し使用停止を呼びかけるまでに2カ月超も要した。1人目の死亡例では亡くなったのは2月。この2カ月超に多くの人が摂取を続け、被害拡大を招いた恐れがある。不安の拡大ともども、同社の後手対応の結果と言えそうだ。

 島根県の丸山達也知事は記者会見で「消費者が被害をどう回避すればよいか分からない状態が長く続いている」として、対応に関し「怠慢だ」と批判。大阪市は、被害情報などとともに紅こうじ原料の販売状況を直ちに報告するよう指示した。

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