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能登に“かがやき”取り戻す 北陸新幹線 金沢-敦賀間開業 浜辺美波&中条あやみら祝福

[ 2024年3月17日 04:40 ]

 北陸新幹線の金沢―敦賀(福井県敦賀市)間が16日、延伸開業した。1973年の整備計画決定から半世紀超で、新幹線網が福井県に広がった。東京―福井間の所要時間は最短2時間51分で、東海道新幹線と特急を乗り継ぐこれまでに比べ33分短縮。観光客増加が見込まれ、能登半島地震からの復興の後押しになると期待される。

 敦賀駅で東京行き一番列車「かがやき502号」出発前の開業式典に臨んだJR西日本の長谷川一明社長は「51年という年月をかけて開業の日を迎えることができた。これまで以上に多くの人に新幹線をご利用いただきたい」とあいさつ。北陸新幹線のCMに起用されている女優の中条あやみ(27)が「出発進行!」と告げると、多くの人の思いを乗せた一番列車が警笛を響かせ走り出した。

 金沢駅では馳浩石川県知事が「ふるさとの 春新幹線 能登半島」と復興への思いをはせる俳句を詠み、敦賀行き一番列車「つるぎ1号」に乗り込んだ。運転したのは、地震で大きな被害が出た珠洲市出身の新谷均さん(42)。「大勢の人に手を振ってもらって幸せだった。地域に愛される北陸新幹線を目指す」と力を込めた。

 トンネルの地盤膨張に伴う工事などで23年春から1年遅れでの開業。喜びもひとしおで、福井、石川両県は祝賀ムードに包まれた。

 東京駅を出発する最初の敦賀行き「かがやき501号」の式典には石川県出身の女優浜辺美波(23)が登場。「北陸エリアが身近になって、たくさんの人に思い出をつくってほしい」と話し、浜辺らの合図で出発した。後続列車に乗った千葉県佐倉市の会社員細谷尚司さん(56)は「学生時代は夜行列車で向かっていた福井への旅が今や3時間。震災復興にもつながってほしい」と語った。

 日本政策投資銀行の試算によると、延伸の経済効果は福井県で年309億円、石川県で年279億円で計588億円。この日から新潟、富山、石川、福井4県で観光復興支援「北陸応援割」が始まり、さらなる波及効果が期待される。

 ≪ユーミン夫妻で小松に≫小松駅前の広場で開かれたイベントには歌手の松任谷由実(70)と、夫で音楽プロデューサーの正隆氏(72)がスペシャルゲストとして登場。松任谷は同駅の新幹線発車メロディーを作曲。15年3月からは「石川県観光ブランドプロデューサー」を務めている。能登半島地震の被災について「本当に心が痛んだ」と語り「前を向いて、空を見上げて、進んでほしい。一緒に頑張りましょう」と激励した。

 ≪2次避難者「肩身狭くなる」≫加賀温泉駅周辺では、地震で被災し旅館などに2次避難している人々から「肩身が狭くなる」と不安をこぼす声が上がった。珠洲市から加賀市山中温泉の宿に避難中の女性(69)は「観光客も宿泊しているので、宿からはロビーをあまりウロウロしないでくれと言われた」と打ち明けた。「お金を払っていない自分たちは肩身が狭い。観光客が増えるともっと居づらくなる」と話した。避難先の宿から、みなし仮設への転居を考える人も。輪島市から避難してきた60代男性は「出て行けと言われていないが、観光客が増える中、自分は居ていいのかという気持ちがある」と引っ越し準備を始めた。

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