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李忠成さん「初めて時が止まった」 “伝説のボレー”が生まれた背景明かす

[ 2024年1月12日 16:32 ]

<11年アジア杯決勝 日本―オーストラリア>延長後半、決勝点となったボレーシュートを決める日本代表FW李忠成
Photo By スポニチ

 サッカー元日本代表FWで、昨季限りで現役を引退した李忠成さん(38)が10日深夜に放送されたテレビ朝日「杉谷拳士が取材中」(水曜深夜2・47)にゲスト出演。あの“伝説のボレー”を振り返った。

 元プロ野球選手のタレント、杉谷拳士(32)がMCを務める初冠番組。異種目ながら現役を終えた者同士の初共演となった。

 李さんが2011年1月のアジア杯決勝・オーストラリア戦で決めた“伝説のボレー”。これについて杉谷から「ゴールまでのイメージはできてたんですか?」と質問が出ると、李さんは「できるし、長友佑都のセンタリングの癖。体を投げ出しながら(ボールを)こするんですね。彼の癖を知っているからこそあそこに入れたっていうのもありますしね。わざと後ろにバックステップしたっていう」とまずは振り返った。

 この大会がA代表初選出だった李さんは、オーストラリアとの決勝で0―0で迎えた延長前半9分に途中出場。同14分に長友が左サイドから上げたクロスをペナルティーエリア内で待ち受け、完璧なタイミングで左足をダイレクトで合わせて日本を優勝に導く決勝ゴールを決めた。これが自身にとって記念すべき代表初ゴールでもあった。

 「ボールの軌道をまず見なきゃいけない。ボールの回転数を見なきゃいけない。で、その回転のスピン量でまた(足の)振りのスピードも変えなきゃいけない…っていうのをちゃんと考えて、体をひねって、そのスピードを全部回転と合わせるっていう」。

 長友が左サイドから左足でこすり上げたクロスはゴールから遠ざかっていく軌道。これを瞬時に全て計算して決めた決勝ゴールの説明に、高校サッカーの強豪・帝京出身者でサッカー好きでもある杉谷は「一つのプレーにそんな集約されてんだ…」と感心しきりとなった。

 そして、「初めて時が止まった」とその瞬間を振り返った李さん。「それこそ野球の長嶋さん、王さん。彼らの番組を見た時に、ホームランを打つ時にボールの縫い目が見えたっていう話を聞いたことがあって、子供のころに。いや、そんなことないだろうって思ってたんですけど、止まりました。(軌道がコマ送りのように)パシャ、パシャ、パシャってボールの縫い目が見えるぐらい。ホント時が止まる感じでボーンと」と振り返った。

 また、ゴールを決めたあとには、自分を信じて起用してくれ、「彼を男にしたい」と思っていたザッケローニ監督のもとへ一目散。だが、「(本田)圭佑がめちゃくちゃラリアットしてきて…」と苦笑いで、本田も振り切って指揮官のいるベンチに走ろうとしたが、岡崎らほかのチームメートにも抱きつかれて結局は行きつけなかったという。

 「ザッケローニもね。“点を取って来い”と。その一言だけ…だったんで、簡単ですね。あれもこれもそれもなかったですから」と指揮官の言葉通り点を取ることだけに集中していたといい、「お前はストライカーだから点を取れ。行って来い」の言葉に背中を押されて決めたゴールだったことを懐かしそうに回想していた。
 

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