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サッカーも関西イヤー 神戸初優勝 “半端ない”大迫が導いた「このために日本に戻ってきた。最高です」

[ 2023年11月26日 05:50 ]

明治安田生命J1リーグ第33節最終日   神戸2―1名古屋 ( 2023年11月25日    ノエスタ )

<神戸・名古屋>優勝を決め、武藤と抱き合う大迫(10)(撮影・岸 良祐)
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 阪神、オリックスに続いた! 明治安田生命J1リーグは各地で7試合が行われ、神戸はFW大迫勇也(33)が2点に絡む活躍で名古屋を2―1で下し、最終節を残してホームで悲願のリーグ初優勝を決めた。1995年の阪神大震災を乗り越え、クラブ発足から29年目。J30周年の節目に花を添え、史上11クラブ目のリーグ王者に輝いた。国内3大タイトルの獲得は19年度の天皇杯以来。吉田孝行監督(46)の続投は決定的で、来季はリーグ連覇とアジア・チャンピオンズリーグ制覇を狙う。

 今季最高の笑顔がはじけた。試合終了の瞬間、武藤と熱い抱擁を交わした。悲願に導いたのは紛れもなく“半端ないストライカー”、大迫だった。

 「このために日本に戻ってきた。最高です。サポーターの方はずっと待っていたと思う。皆で喜びましょう」

 前半12分に絶妙なスルーパスを通して先制点をアシスト。その2分後には左サイドからクロスで武藤の追加点をアシストした。今季7アシスト。得点はJ1トップの22だ。チームの総得点59のうち、実に一人で4割近くを稼ぎ出し、MVPの最有力候補に挙がる。この日は8月の柏戦で左膝を負傷し、全治1年の大ケガを負ったMF斉藤も観戦。選手は奮い立った。

 健在を証明する必要があった。昨年は約4カ月間、右太腿裏に引いてはぶり返す痛みを抱えながらプレーし、7得点に終わった。シーズン終盤に調子を取り戻しJ1残留に貢献したが確実視されていた22年W杯カタール大会に臨む日本代表からは落選し、打診されたバックアップメンバーも辞退。その悔しさをオフにぶつけた。関係者によると、過去にはないほど休みなく体を追い込んだという。大迫自身も「しっかりと体をつくれたので、頭も体もフレッシュな状態でシーズンに臨めた」。テーマは毎試合の成長。8月の川崎F戦で決めたキャリア初の直接FK弾は、日々励んだ居残り練習のたまものだった。

 「半端ないでしょ」と絶賛する吉田監督は「自分の体をよく理解している」と証言する。体に違和感を覚えたら練習量を調整。自ら交代を申し出る時もあった。先制点を奪われる展開が多かった夏場は12試合8得点。チームが苦しい時や勝負どころを見極める強さもあった。鹿島に所属したプロ1年目の09年以来のリーグ制覇とは違う。「当時は先輩たちに良い背中を見せてもらった。その背中を今回は見せられたと思う」。佐々木ら若手に積極的に助言を送るなど、リーダーとしてピッチ内外で存在感が際立った。

 21年夏にブレーメンから完全移籍で加入。古巣・鹿島からもオファーがあったが、神戸を選択したのは「FWとして純粋にもう一回ゴールを取り続けたい。チームを勝たせたいという思い」からだった。34歳となる来年の目標はACL制覇と日本代表復帰。飽くなき挑戦は終わらない。 (飯間 健)

 ≪神戸データ≫
 ☆お待たせV J1優勝は17年川崎F以来11チーム目。神戸は97年のJリーグ参入から27年目のJ1初制覇で、12年広島の20年目を上回る最も遅いV。

 ☆阪神とそろい踏み 関西クラブの優勝は05、14年のG大阪以来2チーム目。今季はプロ野球でも同じ兵庫県を本拠地としているセの阪神がリーグ優勝。J1とプロ野球の同一都道府県のリーグ制覇は10年愛知県のJ1名古屋、セの中日以来2度目。日本一は初めて。

 ☆ベテランコンビの活躍 フィールド選手で全試合出場は33歳の大迫と31歳の武藤の2人のみ。大迫は22得点7アシスト、武藤は10得点10アシストで、チーム59得点の半数以上が2人から生まれている。

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